特定社会保険労務士 島田 清太郎 |
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就業規則は、労働基準法の規定により、法人事業所、個人事業所を問わず常時10人以上の従業員を雇用する場合、事業主に作成が義務付けられてい る、いわば職場の憲法です。
2008年3月に労働契約法が施行されました。これにより就業規則の重要性が一層高まりました。同法の第7条で「労働者及び使用者が労働契約を 締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で 定める条件によるものとする。(後略)」と定められました。
また、第10条で「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の 程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等の交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なも のであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。(後略)」と定められ、従来判例で言わ れてきたところが明文化されました。このことにより就業規則に書かれた内容が企業を守ることにもなることが明らかになりました。
従来、ともすれば従業員が10人以上になったため、市販の「就業規則」のサンプルをそのままとどけたりして、事業場の実際と大きな喰い違いがでて、従 業員との争いが生じたり、労働基準監督署から注意されたりするケースがよくあります。就業規則は個々の会社の実情に合わせ、また経営者の想いを盛り込 むことが肝要です。個別の労使紛争が起きた場合、調停や裁判になった場合でもまず、就業規則ではどうなっているかが問われます。就業規則は合理的なも ので、その内容に社会通念上相当性があれば会社の一存で制定できます。このようにいざとなった時に大変重要性を帯びるものですから、慎重に作成する必 要があります。
また、就業規則は、労働条件や雇用管理に関する法令が次々と制定あるいは改定されるのに適合させることが求められるので、常に見直すことが必要で すし、各種助成金の申請の際にも就業規則の添付が要求されますので、従業員10人未満の事務所でも作成が必要でしょう。社会保険労務士は、労働基 準法、労働契約法等の関係法令はもとより主要労働判例、解釈等に精通しておりかつ、企業の実体に合った就業規則の作成を行います。
少子・高齢化時代を迎え、事業主は、法律により定年を60歳以上に設定することが義務づけられ、段階的に65歳までの雇用継続が求められていま す。
また、定年後の生活設計なども今後の重要な課題となってきています。さらに、女性の職場進出に伴い、女性の能力を如何に活用するかが企業の主要 な要素となってきており、いわゆる男女雇用機会均等法でも、そのための具体的な指針が示されています。
一方、働く人の意識も近年大きく変化し、職務内容や勤務形態も個人ごとに異なり、同じ社内で働く人も正社員やパートの外に、派遣社員、契約社 員、出向者、請負会社の社員、個人の業務委託者など様々な人が一緒に仕事を行うようになってきています。したがって、従来のような一律の人事・労 務管理では対応できなくなって、多くの企業では新しい時代にマッチしたヒトの管理をするために、就業規則の見直し、年俸制、職能給等の導入など賃 金体系の変更、能率を上げるための労働時間制や働き方をすることなどが求められています。
社会保険労務士は、専門的知識により、企業の状況に応じ、このような問題について適切なアドバイスを行います。
今後の少子・高齢化時代において年金は、老後の生活にとって大変大きな比重を占めてきます。平成21年4月からは、国民年金、厚生年金の被保険者 に「年金定期便」が送られるようになりました。各人の誕生月に順次送付される予定です。一昨年の「年金特別便」と比べますと、詳しい加入記録に なっています。しかしながら、現在の年金制度は、将来の長寿社会に対応して何度も改正が行われ、新旧の制度が並立して、一般の人には分かりにくく なっています。
また、自ら年金給付を請求しないと受給できないことが原則となっているため、所定の手続を怠ったり、また、被保険者であった期間が短かったた め、自分で年金は受給できないと思い込み、その後所定の手続をしないで、年金の受給権を喪失してしまうなどのケースが多くあります。これは、「カ ラ期間」を適用することによって、受給できる可能性があります。また、免除申請を行うことによって、保険料を納めていなくても年金を受給できる場 合があります。
社会保険労務士は、これら複雑な年金の加入期間、受給資格等についてわかりやすく説明するとともに、年金の裁定請求に関する書類を依頼人の皆様 に代わって作成、提出いたします。
毎年継続事業が原則として、7月10日までに行う「労働保険(労働者災害補償保険・雇用保険)料の当年度の概算保険料、前年度の確定保険料の申 告・納付」(年度更新)、7月10日までに行う「健康保険・厚生年金保険報酬月額算定基礎届」(算定基礎)は、その基礎となる賃金の定義や保険料 の算出について専門的知識が必要で、それが適正に行われていなければ、雇用保険の失業給付、健康保険の保険給付の額や、将来の年金額に大きな差が 出てきて、受給者が不利益を被るケースもでてきます。
そのような場合、事業主に損害賠償責任を請求されることもありますので、これらの事務処理は十分注意が必要となります。
また、事業主が申告や届を所定の期限までに行わなかったとき、申告した額に誤りがあったとき、また保険料を所定の期限までに納付しないときに は、認定決定による追徴金や延滞金が徴収される場合がありますので、適正な事務処理が必要です。 社会保険労務士は、これらの事務処理を事業主に代わって的確に行います。
労働者の安全管理、健康の保持増進を確保するのは事業者の責務です。私たち社会保険労務士は、労働災害の防止、従業員への安全衛生教育等を通じ、 快適な職場環境の実現をお約束いたします。