過去の事務所便り 2015年

厚労省から発表された本人確認(番号確認・身元確認)のポイント  (2015/12/02)

雇用保険関係の様式

平成28年1月以降、事業主が従業員から個人番号を収集したうえで記入し、ハローワークへの提出が必要となる雇用保険関係の主な様式は次の 通りです。

  • 雇用保険 被保険者資格取得届
  • 雇用保険 被保険者資格喪失届
  • 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書(※)
  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書(※)
  • 介護休業給付金支給申請書(※)

(※)事業主が提出することについて労使間で協定を締結したうえで、できる限り事業主が提出することになっています。

本人確認(個人番号・身元(実在)確認)の方法とポイント

事業主(個人番号関係事務実施者)による本人確認(個人番号・身元(実在)確認)には、「対面・郵送」、「オンライン」、「電話」の3つの 方法があります。
本人確認のポイントは、次の通りです。

  1. 雇入れ時などに運転免許証等により本人であることの確認をしている場合であって、本人から直接対面で個人番号の提出を受ける場合は、身元確認のための書類の提出は不要。こ の場合には、次のいずれかの書類による個人番号の確認が必要。
    ・個人番号カード
    ・通知カード
    ・個人番号の記載がある住民票の写し・住民票記載事項証明書 等
  2. 1.に該当しない場合は、①または②の方法で個人番号の確認と身元確認が必要。
    ①個人番号カード
    ②通知カードまたは個人番号の記載がある住民票の写し・住民票記載事項証明書+各種証明書

最新情報をチェック!

なお、マイナンバー制度関係の情報は以下のサイトで確認することができます。

○ マイナンバー制度(雇用保険関係)(厚生労働省ホームページ)

 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000087941.html

○ 社会保障・税番号制度について(国税庁ホームページ)

 https://www.nta.go.jp/mynumberinfo/

○ 内閣官房ホームページ

 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/

○ 特定個人情報保護委員会ホームページ

 http://www.ppc.go.jp/

職場における「ハラスメント・嫌がらせ」の実態 (2015/12/02)

職場で嫌がらせを受けたことがある人は約9割

全研本社株式会社が運営する働き方と天職を考えるウェブマガジン『瓦版』が、サイトユーザーを対象に実施した職場のハラスメント調査(回答者316人。男性139人、女性 177人。年代は、10代2人、20代121人、30代100人、40代70人、その他23人)によると、「会社で嫌がらせを受けたことがあ る」と答えた人が9割に上ったことがわかりました。

「モラルハラスメント」がトップ

受けたことがある嫌がらせの種類としては「モラルハラスメント」と答えた人が83.2%、以降、「エイジハラスメント」(25%)、「セクシュアルハラスメント」 (21.5%)、「アルコールハラスメント」(15.2%)等と続いています。

その他、「スモークハラスメント」「テクノロジーハラスメント」「マリッジハラスメント」「スメルハラスメント」「パワーハラスメント」「マタニティハラスメント」と挙 がっていますが、ハラスメントにも様々な種類があることがわかります。

具体的な事例

具体的にどのような嫌がらせと受けたかというと、「気に入らないという理由だけで根拠のないうわさを社長へ話す」、「休日にメールで文書による嫌がらせ」、「同じミスでも 若い子には怒らず50代の私は叱責される」、「明らかに無理な勤務内容」などの事例が並びました。

「嫌がらせ」の内容は様々ですが、中には「暴力を受けた」など明らかに問題のある事例も挙がっています。

ハラスメントを放置することのリスク

今回の調査では「嫌がらせを受けたことがある」と答えた人が9割と、かなり多い結果となっています。

「嫌がらせ」と受け取られる事例にも様々あり、ある行動を「嫌がらせ」と受け取るかどうかは、受け取り側の主観もある程度影響しますが、社員が「嫌がらせ」を認識してスト レスを感じている場合、メンタルヘルスの問題や労使トラブルの原因にもつながり、そのような状況を放置することは、会社としてリスクが伴いま す。

また、ハラスメントが蔓延しているような状況では、企業の生産活動にも大きな影響を与えかねませんので、社内風土の改善という意味でも、社員の態度や社員間のやり取りには 会社としても必要な範囲で目を配っていくことが求められるでしょう。

職場環境の良さをアピールして人材獲得につなげる! (2015/12/02)

「時間単位年休制度」とは?

働きやすい職場環境の構築に役立つとされ、厚生労働省もその導入を推奨する「時間単位年休制度」。

労働基準法39条では年次有給休暇について規定されており、6カ月以上継続勤務し、かつ8割以上出勤した従業員に対して10日間の有給休暇が与えられることになっていま す。なお、日数は勤続年数に応じて増加していきます。

従来、日単位または半日単位での年休取得が認められていましたが、2010年の法改正により、時間単位での有給休暇の取得が認められるよう になりました。

この制度を導入している企業は10%ほど(同省「就労条件総合調査」)のようですが、職場環境の良さをアピールできれば、採用にプラスとなるかもしれません。
なお、時間単位年休制度を導入するには、(1)就業規則の変更、(2)労使協定の締結が必要となります。

「短時間勤務制度」とは?

3歳に満たない子を養育する従業員については、従業員が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けなければならないとされています(育児・介護休業法)。また、就業規則等 に明記して制度化することが必要です。必ず導入しなければならない制度であれば、それを有効に活用することも必要でしょう。

ただ最近、資生堂の有給休暇、短時間勤務制度の方針転換が報道され、「資生堂ショック」などと言われています。

同社では女性が多い職場ということもあり、20年以上も前から先進的に制度を導入してきました。しかし、短時間勤務の伸展にともない売上が大きく減少してしまったとのこと です。

育児時間を取るのが当たり前になってきて、"甘え"が出てきたり、取るという権利だけ主張したりという状態になっていたとも報道されていま す。
また、従業員の間でも、業務量の偏りや取得者の配慮のなさからの不公平感も大きくなってきていたようです。

シフト等の工夫も

人材獲得のためには、制度を整えるほかにシフト等を工夫し、かつそうした働きやすさを求職者にわかりやすくアピールすることも有効ですが、導入の仕方には検討するべきポイ ントも多いようです。

「番号法」が施行! マイナンバーに関する最新情報 (2015/11/02)

ついに「番号法」が施行

10月5日に「番号法(マイナンバー法)」が施行されましたが、施行と前後して各省庁などからマイナンバーに関する最新情報が出されていま す。

本人に交付する源泉徴収票や支払通知書等への個人番号の記載について(10/2)

所得税法施行規則等が改正され、「本人に交付する源泉徴収票や支払通知書等には個人番号の記載が必要ないこと」が明らかになりました。

これは、本人交付が義務付けられている源泉徴収票などに個人番号を記載することにより、その交付の際に個人情報の漏えいや滅失等の防止のための措置を講ずる必要が生じ、従 来よりもコストを要することになることや郵便事故等による情報流出のリスクが高まるといった声に配慮したものです。

個人番号の提供を拒否された場合の対応について(10/5)

特定個人情報保護委員会が公表している「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」に関するQ&Aが最新版に更新され、「個人番号の提供を拒 否された場合の対応」が明らかになりました。

これによると、法定調書作成などに際し従業員から個人番号の提供を受けられない場合でも、安易に個人番号を記載しないで書類を提出せず、個人番号の記載は法律で定められた 義務であることを伝え、提供を求める必要があります。

それでもなお提供を受けられない場合は、提供を求めた経過等を記録・保存するなどし、単なる義務違反でないことを明確にしておかなければなりません。経過等の記録がない と、個人番号の提供を受けていないのか、あるいは提供を受けたのに紛失したのかが判別できないためです。

年金機構に添付書類として提出する住民票について(10/7)

日本年金機構がマイナンバーに関する文書(日本年金機構に提出する住民票についてのお願い)を公開し、年金請求時などに必要な書類(添付書類)として住民票を同機構に提出 する場合には「個人番号(マイナンバー)が記載されていない住民票を提出する必要があること」が明らかになりました。

これは、一連の「不正アクセスによる情報流出事案」の影響により、当分の間、同機構においては個人番号(マイナンバー)の利用ができなくなっているためです。

調査結果にみる60代従業員の雇用状況と就業意欲 (2015/11/02)

60代になっても働いている人が増加

高齢者の活用ということについて、改めて注目されるようになっています。

60代を対象にした仕事や生活の実態、意識などに関する調査(独立行政法人労働政策研究・研修機構、平成26年実施)の結果によると、次のようなことが明らかになりまし た。

就業状況

60代の就業状況は、前回(平成21年)の調査と比較すると、次のようになっています。

  • 65~69歳の層で定年後継続雇用の割合が上昇(17.2%→24.0%)
  • 定年直後に無業であった割合が低下(60~64歳層:18.2%→13.0%/65~69歳層:28.4%→18.4%)
  • 定年経験者が60歳台後半で引退している割合が低下(28.3%→24.5%)
  • 定年を経験していない人においても65~69歳の層で55歳時と同じ会社で勤務している割合が上昇(6.1%→10.8%)

高い就業意欲

60代の仕事についていない方のうち26.0%が就業を希望しているようです。

60代前半層の不就業者(男性)では、42.9%が就業を希望しており、就業を希望している60代の高年齢者が多数存在していることが明らかになっています。

定年後雇用継続における仕事と賃金

定年到達後の仕事内容の変化については、「変わっていない」49.0%(継続雇用者50.7%)とする回答が最も多い一方、定年後の賃金額については、「減少した」 41.9%(継続雇用者80.3%)が最も多く、その減少幅は「41~50%」19.1%(継続雇用者24.2%)が最も多くなっています。

賃金が下がったことについては、是認派(しかたがない・やむを得ない)と否認派(おかしい・下がりすぎだ)の割合はほぼ同じとなっていま す。

高齢者の賃金制度

将来的に日本の労働力人口は減少していきます。

高年齢者に納得して働いてもらうためには、高年齢者の賃金制度のあり方を再検討すべき時期に来ているのではないでしょうか。

「介護離職ゼロ」を目指す政府の方針とは? (2015/11/02)

「介護離職ゼロ」とは?

安倍首相は、「介護離職ゼロを目指し、介護施設の整備、介護人材の育成を進め、仕事と介護が両立できる社会福祉を本格的に進めたい」と自民党総裁選で公約を掲げました。

ここでいう「介護離職ゼロ」とは、親や親族の介護をするために退職する人をゼロにしようという意味です。

現在、介護離職者は年間10万人を越え、40~50代の社員に急増しており、男性の介護参加率も高まっています。そのため、仕事と介護を両立できる制度を導入し、介護離職 防止策に取り組む企業も増えています。

制度見直しに向けた動き

厚生労働省は育児・介護休業法を改正し、介護休業制度の見直しを進める考えです。

現在の介護休業制度では、親などの介護が必要となった際に、原則1回最長93日のまとまった休みを取ることができますが、分割して取得ができるにする方針です。

同省はこのほか、1日単位で休める介護休暇を延長したり、半日単位で取得できるようにしたりする、介護を終えるまで当事者の残業免除を企業に義務付けることなども併せて検 討しています。

すでに今年9月から労働政策審議会で見直しの議論をスタートさせており、年内に議論をまとめ、2017年にも施行したい考えのようです。

特養増設には課題も

一方、政府は、特別養護老人ホーム(特養)の増設・整備にも力を入れる方針ですが、人材確保など多くの課題もあります。

特養への入所待機者は、2013年度で全国に52万人いるとされており、特養の増設によって15万人の入所待機者の解消を目標としています。しかし、特養を増設するために は、そこで働く職員の確保が大きな問題として挙がってきます。

今後ますます深刻化する高齢化社会、政府は「介護離職防止」と「介護職員確保」のどちらにも目を向けて対策に取り組まなければなりません。

徐々に認知度が高まってきた「マイナンバー制度」
従業員の個人番号の取得方法は? (2015/10/01)

「制度を知らなかった」は1割未満に

内閣府(政府広報室)より「マイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する世論調査」の結果が9月上旬に発表されました。

この調査は7月23日から8月2日にかけて実施されたもので、調査対象者は3,000人、有効回答者は1,773人(有効回答率59.1%)でしたが、前回の調査時(今年 1月)と比較するとマイナンバー制度についての認知度が高まってきたことがわかります。

  • 「マイナンバー制度について内容まで知っていた」
        前回28.3%→今回43.5%
  • 「マイナンバー制度について内容は知らなかったが言葉は聞いたことがある」
        前回43.0%→今回46.8%
  • 「マイナンバー制度について知らなかった」
        前回28.6%→今回9.8%

取得・保管・廃棄の方法のパターン

マイナンバー制度に関しては、原則として10月5日時点の住民票の住所宛に、国民一人ひとりに「個人番号」が通知されることになっていま す。
企業としては、まずは従業員の個人番号を取得し、その後保管し、場合によっては廃棄する必要がありますが、個人番号の取得から廃棄までの方法 としては、次の3パターンが考えられます。

  1. 取得から廃棄までをすべて『クラウド・システム等』で行う
  2. 取得は『紙』で行うが、それ以降は『クラウド・システム等』で行う
  3. 取得から廃棄までをすべて『紙』で行う

どのように取得・保管・廃棄を行うかをまだ決めていない場合は、企業規模(従業員数)やマイナンバー関連業務に携わる担当者の数、かけることができる手間や費用等に応じ て、上記のいずれかの方法を決定する必要があります。

1月から個人番号を記載

来年1月からは、各種届出用紙に個人番号の記載が必要となります。社内体制を万全に整えたうえで制度スタートを迎えたいものです。

発送間近!「マイナンバー通知カード」に関する注意点と変更手続  (2015/10/01)

通知カードの送付先

マイナンバー通知カードは、10月以降、世帯主宛てに世帯全員分が、住民票の住所地に転送不要の簡易書留で郵送されます。

従業員が現在住んでいるところと住民票の住所地が異なる場合、通知カードが受け取れないおそれがあるため、企業は従業員に対し注意喚起をする必要があります。

通知カードが届かないおそれのある人とは

従業員本人の引っ越しや転勤による住所の移動後、住所変更の手続きをしていない方です。

なお、2015年10月以前に海外赴任し、住民票の除票の手続きをしている人はマイナンバーが付番されず、帰国後に住民票を作成して初めて付番されるので、その後に提供を 受けます。

また、扶養する子が進学等を機に住所を移している場合、そちらに通知カードが送付されるので注意が必要です。

上記の他、以下の方も9月25日までに居所情報の登録をする必要があります。

  • 東日本大震災被害者で避難されている方
  • DV、ストーカー行為等の被害者で避難されている方
  • 一人世帯で長期間にわたり医療機関や施設に入院または入所していて、住民票の住所地に誰も居住していない方

住民票の異動手続の仕方

手続きは、住所地の市区町村役場へ、「本人確認書類」、「届出人の印鑑」、「転出証明書(同一市区町村内の異動の場合は不要)」、「特別永住者証明書・在留カード(外国人 の場合)」を持参して行います。

国外からの移転の場合は、「転入者全員のパスポート」、「転入者全員の戸籍の附票(本籍地が異なる場合)」、「届出人の印鑑」が必要です。

居所情報の登録申請手続の仕方

住民票の住所地である市区町村役場に持参または郵送(9月25日必着)で、次の書類を提出します。代理人による場合は「代理権を証明する書類」、「代理人の本人確認書類」 も必要です。

  • 居所情報登録申請書(申請者1人ごとに1枚)
  • 本人確認書類
  • 居所に居住していることを証する書類(公共料金の領収書等)

従業員50人未満の企業向け!「ストレスチェック制度」関連の助成金  (2015/10/01)

12月から義務化

企業のメンタルヘルス対策の一環として、改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」がいよいよ12月より義務化されます。

従業員数50人未満の事業場は当分の間「努力義務」となっていますが、社員のメンタルヘルス不調を未然に防止するという観点から、ぜひ実施したいと考えている企業も多いか と思います。

その際に、ぜひ活用していただきたいのが本助成金です。

どんな助成金?

従業員50人未満の事業場が、医師・保健師などによるストレスチェックを実施し、また、ストレスチェック後の産業医による面接指導等の産業医活動の提供を受けた場合に、費 用の助成を受けられるというものです。

受給要件

以下の5つの要件すべてを満たす必要があります。

  1. 常時使用する従業員数が50人未満であり、同一の都道府県内にある複数の小規模事業場を含む事業場で集団を構成していること。
  2. 集団を構成する小規模事業場の事業者が産業医を合同で選任し、ストレスチェックに係る産業医活動の全部または一部を行わせること。
  3. ストレスチェックの実施者および実施時期が決まっていること。
  4. 集団を構成するすべての小規模事業場において、ストレスチェックおよび面接指導を行う予定であること。
  5. 集団を構成する小規模事業場の代表者と産業医が同一者でないこと。

助成額は

年1回のストレスチェックを実施した場合は、実施人数分の実費費用を助成(1従業員につき上限500円)、ストレスチェックに係る産業医活動(面接指導の実施など)につい ては1事業場あたり産業医1回の活動につき実費費用を助成(上限額21,500円・上限3回)です。

申請手続

支給申請をする前に、まずは、小規模事業場の集団を形成し、上記支給要件を満たしているかの確認を受けるため、独立行政法人労働者健康福祉機構への届出が必要になります。

ストレスチェック、ストレスチェックに係る面接指導などの実施後、助成金の支給申請を行い、支給決定がされた場合には、申請時の年度末まで に支払われます。

「マイナンバー制度」雇用保険関係の最新情報! (2015/09/02)

厚労省から続々と情報が公表

8月に入り、厚生労働省から雇用保険関係のマイナンバー制度に関する情報が続々と公表されています。

まず、8月3日に「概要リーフレット」と、事業主向けの詳細資料である「マイナンバー制度の導入に向けて(雇用保険業務)」が公表され、来年1月から使用するマイナンバー 制度に対応した雇用保険関係の様式案(7月時点の改正案)も公開されました。

さらに8月5日には「雇用保険業務等における社会保障・税番号制度への対応に係るQ&A」が公表されています。

マイナンバー制度に関する同省関係の情報発信は、国税庁などに比べると遅れ気味ではありますが、ようやく出てきたといった感じです。

なお、個人番号については厳重な管理が必要とされているため、同省ではできるだけ電子申請による届出を行うよう呼びかけています。

「Q&A」の内容

以下では、上記「Q&A」の内容からいくつかご紹介します(全体版は『厚生労働省 マイナンバー制度 雇用保険関係』で検索してご覧ください)。

Q7「離職票-1」は事業主が個人番号を記載して離職者に交付するのか。

(答)「離職票-1」の個人番号欄は離職者が記載することとしており、事業主はハローワークから交付された「離職票-1」(個人番号欄は空欄)を離職者に交付していただく こととなります。

Q9 雇用保険手続について、手続の契機ごとに同一従業員の個人番号を重複して提出することになるのか。

(答) 個人番号のハローワークへの届出にあたっては、事業主が従業員から個人番号を収集する際に本人確認を行った上で提出することからハローワークでは本人確認等の事務は行わな いこととなりますが、仮に、個人番号が誤って登録された場合には、その後の事務処理に多大な影響を生じることとなることから、手続頻度の高い 届出について、届出の契機ごとに、個人番号を記入して提出することとしています。

Q11 従業員から個人番号の提供を拒否された場合、雇用保険手続についてどのような取扱いとなるのか。

(答) 雇用保険手続の届出にあたって個人番号を記載することは、事業主においては法令で定められた(努力)義務であることをご理解いただいた上で、従業員から個人番号の提供を求 めることとなりますが、仮に提供を拒否された場合には、個人番号欄を空白の状態で雇用保険手続の届出をしていただくこととなります。その上 で、再度、従業員から個人番号の提供を求めた上で、個人番号の提供があった場合には、所定の様式により提出していただくこととしています。

要介護認定600万人突破で「介護離職者対策」がますます重要に! (2015/09/02)

認定が初めて600万人超える

厚生労働省の調べによると、2015年3月時点で要支援・要介護の認定を受けた人は606万人と、前年同月に比べ22万人の増加となったことがわかりました。

600万人を超えたのは年度末ベースでは初めてのことで、国民のほぼ20人に1人に当たります。

過去10年では5割増

認定者の数はこの10年で約5割増えました。
男女の内訳では、認定された約606万人のうち、女性が419万人、男性は187万人。特に75歳以上の年齢層では女性の利用者が男性を大き く上回っています。

女性のほうが長生きで65歳以上の人に占める比率が57%と多いのに加え、女性は介護を受けることへの抵抗感が男性に比べて小さいとの見方 もあるようです。

介護従事者不足が深刻に

このため、介護施設や職員の不足が一段と深刻になっています。
2014年度で利用者の伸びが特に目立つのは在宅サービスで、訪問介護やデイサービスを中心に322万人と3.7%増えました。

一方、特別養護老人ホームなど、介護施設の利用者は121万人と1.6%の伸びにとどまりました。これは、特別養護老人ホームの入居待ちが全国で約50万人いるなど、施設 の不足が深刻化しているためです。

介護離職者の増加にも大きな懸念

公的な介護サービスを十分に受けられなければ、家族がしわ寄せを受けることになります。

厚生労働省の調査によると、家族の介護のために離職した人は2013年には9.3万人と、前年から41%も増えました。これは5年前の約2倍の数字です。このうち4分の3 は女性で、40代後半~50代が多くなっています。

家族の介護離職が増えれば経済全体を下押しする可能性もあり、日本の経済成長の足かせになる可能性もあります。

厚生労働省の対策は

厚生労働省は、介護離職者の増加に歯止めをかけるため、介護休業制度を複数回に分けて取れるように制度を見直す方針です。一方で、介護保険制度の維持のため給付を抑制して いくことも急務で、介護給付を減らすための改革も必要とされています。

介護の認定者はさらに増え続ける見込みで、今回の調査結果から、政府はもとより、社会全体での取組みがさらに喫緊の課題となっていることが わかります。

残業時間削減効果の高い企業における取組みとは? (2015/09/02)

7割以上の企業で1カ月当たり45時間超の所定外労働

独立行政法人労働政策研究・研修機構(以下、「LIJPT」)が従業員数100人以上の企業2,412社から回答を得た調査の結果、過去1年間における1カ月当たり所定労 働時間は平均24.5時間でした。

過去1年間に1カ月当たり45時間超の所定外労働を行った正社員が1人でもいた企業の割合は76.5%で、60時間超が61.4%、80時間超が39.9%でした。

1カ月当たりの所定外労働時間が45、60、80時間を超えた正社員がいた割合が高かった業種は、「建設業」「製造業」「情報通信業」「運輸業、郵便業」「学術研究、専 門・技術サービス業」でした。

約半数の企業が年間総実労働時間を「短縮していく」と回答

上記の現状を受け、年間総実労働時間の今後の方向性について尋ねると、「現状通りで良い」との回答が49.2%、「短縮していく」との回答が45.7%でした。

残業時間削減を経営戦略に位置付けるのが効果的

エン・ジャパンが2014年7月から8月にかけて行った調査では、「業務分担やフローの見直し」、「管理職への教育」、「残業の事前申請制」の3つが、実施効果のあった取 組内容となっていました。

今回の調査でも、効果があった上位3つは「経営トップからの呼び掛けや経営戦略化による意識啓発」、「所定外労働の事前届出制の導入」、「仕事の内容・分担の見直し」で、 経営戦略として残業削減に取り組むことが効果的であると言えます。

残業時間削減に効果的な取組みとは?

なお、JILPTの調査結果では、実施企業で所定外労働時間の短縮効果が高かったのは、「強制消灯、PCの一斉電源オフ」、「経営トップからの呼び掛けや経営戦略化による 意識啓発」、「社内放送等による就業の呼び掛け」、「労働時間管理や健康確保に係る管理職向けの研修・意識啓発」などの取組みとなっていま す。

残業削減に取り組んでいるものの満足な効果が得られていないという場合、上記のような取組みの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

どう変わる? 標準報酬月額、傷病手当金、出産手当金等の改正(2015/08/01)

今国会で改正法が成立

「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」が今国会で改正しました(平成27年5月29日公 布)。

これにより、健康保険料の算定基礎となる標準報酬月額などが変更になります。
なお、施行は平成28年4月1日で、詳細は省令で定めることとされています。

標準報酬月額に関する改正

標準報酬月額について、3等級区分が新たに追加され、その上限額が139万円となりました。

(改正前)

  • 第47級…(標準報酬月額)1,210,000円、(報酬月額)1,175,000円以上

(改正後)

  • 第47級…(標準報酬月額)1,210,000円、(報酬月額)1,175,000円以上1,235,000円未満 
  • 第48級…(標準報酬月額)1,270,000円、(報酬月額)1,235,000円以上1,295,000円未満
  • 第49級…(標準報酬月額)1,330,000円、(報酬月額)1,295,000円以上1,355,000円未満
  • 第50級…(標準報酬月額)1,390,000円、(報酬月額)1,355,000円以上

標準賞与額に関する改正

標準賞与額の上限額(年度における標準賞与額の累計額)が、改正前の「540万円」から「573万円」に改正されました。

傷病手当金関する改正

傷病手当金の額は、1日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2 に相当する金額とする(1年に満たない場合はその期間または全被保険者の平均の低いほう)こととされました。

標準報酬月額を基準として支給額を決定することに変わりはありませんが、「直近の継続した12月間分」を平均することになりました。

出産手当金に関する改正

傷病手当金の支給に係る規定が準用されます。

「個人情報漏えい問題」と企業の情報セキュリティ対策 (2015/08/01)

年金機構による情報漏えい

日本年金機構は6月1日、職員が外部からの不審な電子メールを開封したことにより、同機構のコンピュータシステムに不正アクセスが行われ、そこから約125万人の年金情報 が漏えいしたことを発表しました(後に約101万人と訂正)。これに便乗した詐欺事件なども発生し、大きな社会問題となっています。

また、昨年はベネッセホールディングスによる大量の情報漏えい事故もありましたが、民間企業にとっても、情報漏えいや流失事故は、信用問題や経営上のリスクにもつながり、 防止対策が必須だと言えます。

約7割の組織で何らかのセキュリティ事故が発生

トレンドマイクロ株式会社が実施した、日本国内の法人組織におけるセキュリティ被害と対策状況の実態を明らかにする調査「組織におけるセキュリティ対策実態調査 2015年版」(対象:官公庁自治体および民間企業など、従業員50名以上の法人組織における情報セキュリティ対策に関する意思決定者および 意思決定関与者1,340名)によると、全体の約7割が、2014年の1年間において「組織内でウィルス感染」「システムからの情報漏えい」 「不正ログイン」など何らかのセキュリティインシデントが発生したと回答したとのことです。

また、実害が発生したと答えた人に被害額を質問したところ、40.5%が「1,000万円未満」と回答しましたが、16.9%が「1億円以上」と回答し、深刻な被害につな がっているケースも少なくないことがわかりました。

マイナンバー導入等により対策が必須に

マイナンバーが10月より個人に通知され、来年1月からは制度がスタートしますので、すべての企業で何らかのセキュリティ対策が必要になっ てきます。

また、現在国会で審議中の改正個人情報保護法が成立すれば、今まで「個人情報取扱事業者」の対象外とされていた小規模事業者も規制の対象と なりますので、対応の見直しが求められてくることは必至です。

人為的なミスが原因で事故につながっているケースが多いことから、企業においてはITシステムの対応などハード面でのセキュリティ対応だけ でなく、従業員に危機意識を持ってもらうため、「社内研修の実施」や「従業員向けガイドラインの策定」等が、今後ますます必要になってくるこ とでしょう。

内閣府作成の「マイナンバー導入チェックリスト」 (2015/08/01)

通知カードの送付は10月から

いよいよ「通知カード」(10月5日時点の住民票を基に作成)の送付が迫ってきましたが、マイナンバー制度への対応は進んでいますでしょう か?

今後、企業の規模にかかわらず着々と準備を進めていく必要があります。

今回は、内閣府から公表されている、従業員の少ない事業者向けの「マイナンバー導入チェックリスト」の内容をご紹介いたします。

マイナンバー導入チェックリスト

チェックリストの内容は、以下の7項目となっています。

【1】担当者の明確化と番号の取得

  • マイナンバーを扱う人を、あらかじめ決めておきましょう(給料や社会保険料を扱っている人など)。
  • マイナンバーを従業員から取得する際には、利用目的(「源泉徴収票作成」「健康保険・厚生年金保険届出」「雇用保険届出」)を伝えま しょう。
  • マイナンバーを従業員から取得する際には、番号が間違っていないかの確認と身元の確認が必要です。顔写真の付いている「個人番号カー ド」か、10月から届くマイナンバーが書いてある「通知カード」と「運転免許証」などで確認を行いましょう。

【2】マイナンバーの管理・保管

  • マイナンバーが記載された書類は、カギがかかる棚や引き出しに大切に保管するようにしましょう。無理にパソコンを購入する必要はあり ません。
  • パソコンがインターネットに接続されている場合は、ウィルス対策ソフトを最新版に更新するなどセキュリティ対策を行いましょう。
  • 従業員の退職や契約の終了などでマイナンバーが必要なくなったら、細かく裁断するなどマイナンバーの書いてある書類を廃棄しましょ う。パソコンに入っているマイナンバーも削除しましょう。

【3】従業員の皆さんへの確認事項

  • 制度に関する周知文書を掲示版に貼るなどして、従業員の皆さんに通知が届く時期や何に使うかなど、基本的なことを知ってもらいましょ う。

6/29スタート! 協会けんぽの「届書・申請書作成支援サービス」  (2015/07/01)

変わる協会けんぽのサービス

2014年7月より、協会けんぽでは各種健康保険給付の支給申請書、保険証再交付申請書、任意継続に関する届書等を変更し、現在、旧様式での申請の場合には給付金の支払い の遅延につながることから、ホームページから様式をダウンロード・印刷のうえ、新様式での申請を促しています(印刷できない場合は加入する支 部から送ってもらうことも可能)。

この新様式が掲載されているページには、記入例や記入上のポイントも提供されていますので、間違いのない申請実務を進めるうえで参考になり ます。
さらに、6月29日(月)から、より便利に申請することができるよう、「届書・申請書作成支援サービス」がスタートします。

新サービスの利用方法

新サービスでは、協会けんぽのホームページにアクセスし、申請書のデータを呼び出して画面に表示される申請書に直接必要事項を入力・印刷して、申請書を作成することができ ます。

入力する項目に関する説明を参照しながら入力できるようになっていますので、誤入力を防ぐことができます。また、記入漏れ等も自動でチェックしてくれますので、誤入力・記 入漏れによる再提出といったムダを省くこともできます。

申請書に必要事項を入力したら、印刷して加入する協会けんぽの支部に提出します。郵送による提出も可能です。

新サービス対応の申請書

現在、新サービスに対応する申請書として掲げられているのは、各種健康保険給付の支給申請書、保険証再交付申請書、任意継続に関する届書等です。詳しくは協会けんぽのホー ムページでご確認ください。

申請書のご入力や記入漏れによって給付の支払いが遅れたりすると、事務のムダが発生するだけでなく、従業員の方にも影響を及ぼすこととなり ます。

正確に申請実務を進めるためにも、この新サービスを利用されてはいかがでしょうか。

「第三次産業」における労災発生状況の特徴は? (2015/07/01)

第三次産業の労災発生状況

厚生労働省から、「第三次産業における労働災害発生状況の概要(平成26年)」が発表されました。この中から特徴的な傾向について取り上げ ます。

小売業

労働災害は平成21年より増加傾向にあり、平成26年は13,365件(前年比4%増)でした。

事故のパターンとしては、「転倒」が多く(34%)、次いで「動作の反動・無理な動作」(13%)となっており、これだけでほぼ半数を占めています。転倒災害の多くは 9~11時台に発生しています。

また、経験年数3年未満の死傷者が全体の45%を占め、50歳以上の災害が約7割を占め、かつ年々増加傾向にあります。さらに、休業見込が1月以上の災害が約6割となって います。

社会福祉施設

労働災害が年々急増しており(6年間で1.5倍)、平成26年は7,224件(前年比8%増)となりました。小売業と同様、転倒災害が多く(31%)、9~11時台に発生 しており、50歳以上の災害が約7割を占めています。

また、業種の特徴として、介護等に伴う「動作の反動・無理な動作」による災害が34%を占めています。特徴的な、「腰痛」の発生件数は年々増加しており、平成26年は 1,023件(前年比3%増)となりました。

飲食店

平成26年は4,477件(前年比1%増)ですが、年々増加しています。ここでも「転倒」が28%を占め、続いて職種柄か「切れ・こすれ」(24%)、「高温・低温物との 接触」(17%)が続いています。

また、30歳未満の死傷者数が全体の3分の1を占め、9~12時の作業になれていない時間と繁忙時間となる18~20時に発生しやすい傾向にあります。さらにここでも、転 倒災害は9~11時台に多く発生し、50歳以上の災害が約6割を占めています。

高年齢労働者の災害防止が重要になる

近年、転倒による労働災害が急増している背景には、労働者の高年齢化があります。今回の発生状況を見ても、50歳以上の転倒によるものが目立っており、骨盤・大腿の骨折等 により休業日数が長くなることが多いです。

第三次産業では、製造業等に比べると重篤な災害が少ないということから、現場の安全性に対して意識がおろそかになってしまう傾向にありますが、これから労働力人口の一層の 高年齢化が見込まれる中、高年齢労働者の転倒災害の防止は一層重要な経営事項になるでしょう。

厚労省が「パワーハラスメント対策導入マニュアル」を公開 (2015/07/01)

パワハラの対策マニュアルを初めて公表

厚生労働省は、企業内でパワーハラスメント対策に取り組む際の参考となる「パワーハラスメント対策導入マニュアル」を初めて作成しました。

マニュアルは同省のホームページでダウンロードできるほか、都道府県労働局や労働基準監督署、労使団体など、全国で5万部が配布されるとの ことです。

また、同省では7月からこのマニュアルを活用した「パワーハラスメント対策支援セミナー」を全国約70カ所で無料開催します。

規模の小さい会社ほど対策が進んでいない

2012年度に実施された「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、80%以上の企業が「職場のパワハラ対策は経営上の重要な課題である」と考えているにも かかわらず、「予防・解決のための取組み」を行っている企業は全体の45.4%となっており、特に従業員数100人未満の企業では18.2% に留まっていることから、従業員規模が小さい企業ほど、対策が進んでいないことが明らかになっています。

マニュアルの内容は?

マニュアルは、職場のパワーハラスメントを予防・解決するために、(1)トップのメッセージ、(2)ルールを決める、(3)実態を把握する、(4)教育する、(5)周知す る、(6)相談や解決の場を提供する、(7)再発を防止する、の7つの項目が掲げられています。

これら(1)~(7)の実施を20社の企業が行い、そのフィードバックを参考にポイントや規定例等を盛り込みつつ解説しています。なお、マニュアルには、従業員アンケート のひな形や社内研修用のレジュメ、ハラスメント相談対応者が使う相談記録票などの資料も豊富に収録されています。

放置せず予防・解決に向けての取組みを!

職場のパワーハラスメントは、近年、都道府県労働局や労働基準監督署等への相談が増え続けています。また、ひどい嫌がらせ等を理由とする精神障害等での労災保険の支給決定 件数が増加しているなど、社会的な問題として表面化しています。

これらの問題を放置した場合には貴重人材を失うばかりでなく、企業側が裁判で責任を問われることもあります。こうした悪い影響や損失を回避するためにも、本マニュアルを活 用してパワーハラスメントの予防・解決に向けた取組みを行うべきでしょう。

最低限押さえておくべき「マイナンバー対策」のポイント (2015/06/01)

小規模事業者向けの資料が公開

通知カードの送付が10月(中旬~下旬になると言われています)に迫ってきましたが、先日、特定個人情報保護委員会から、小規模事業者向けのマイナンバー関連資料「小規模 事業者必見! マイナンバーガイドラインのかんどころ~入社から退職まで~(平成27年4月版)」が公開されました。

以下では、小規模事業者が最低限押さえておくべき、場面(入社、源泉徴収票の作成、退社等)ごとのポイントと留意点をご紹介いたします。

マイナンバー制度対応のポイント&留意点

(1)入社

  • 社員からマイナンバーが記載された書類(扶養控除等申告書等)を取得する。取得の際は、「源泉徴収票作成事務」「健康保険・厚生年金保険届出事務」「雇用保険届出事務」で 利用することを知らせる。
  • 社員からマイナンバーを取得したら、個人番号カード等で本人確認を行う。
  • マイナンバーが記載されている書類は、カギのかかるところに大切に保管する。
  • マイナンバーが保存されているパソコンをインターネットに接続する場合は、最新のウィルス対策ソフトを入れておく。

(2)源泉徴収票などの作成

  • マイナンバーを扱う社員を決めておく。
  • マイナンバーの記載や書類の提出をしたら、業務日誌等に記録するようにする。
  • 源泉徴収票の控えなど、マイナンバーの記載されている書類を外部の人に見られたり、机の上に出しっぱなしにしたりしないようにする。

(3)退職

  • 退職所得の受給に関する申告書等、退職する人からもらう書類にマイナンバーが含まれている。
  • 退職の際にマイナンバーを取得した場合の本人確認は、マイナンバーが間違っていないか過去の書類を確認することで対応可能。
  • 保存期間が過ぎたもの等、必要がなくなったマイナンバーは廃棄する。マイナンバーを書いた書類は、そのままゴミ箱に捨ててはいけな い。

(4)支払調書の作成

  • 税理士や大家・地主等からマイナンバーを取得する。取得の際は、「支払調書作成事務」等で利用することを知らせ、本人確認も忘れずに 行う。
  • 気をつけることは、社員のマイナンバーと同じ
    (カギのかかるところに大切に保管、最新のウィルス対策ソフトの導入、マイナンバーを使う社員の特定、業務日誌などへの記録、机の上に出 しっぱなしにしない、必要がなくなったマイナンバーは廃棄)。

ご存知ですか? 雇用保険給付金の申請期限が過ぎても申請可能に! (2015/06/01)

申請期限が過ぎても…

育児休業給付金や介護休業給付金をはじめとする雇用保険の給付金について、支給申請をしたものの、「申請期限が過ぎていて給付を受けられなかった」ということはありません か?

しかし、これからはそういった心配やミスはなくなりそうです。

時効完成までの期間であれば申請できます!

これまでは、雇用保険の受給者保護と迅速な給付を行うために、申請期限を厳守しなければなりませんでしたが、今年の4月より、申請期限を過ぎた場合でも時効が完成するまで の期間(2年間)については申請が可能になりました。

ただ、申請期限内に支給申請をしないと、通常より給付金の支給が遅くれる場合や、雇用保険の他の給付金が返還になる場合もありますので、原則、申請期限内に支給申請を行う ことが大切です。

申請期限が過ぎていて給付が受けられなかった場合は?

以前に給付金の支給申請を行ったにもかかわらず、申請期限が過ぎたことで支給されなかった場合はどうでしょうか。

この場合についても再度申請をし、その申請日が給付の時効の完成前で給付金の支給要件を満たしていれば、給付金は支給されます。
該当する方はいないか、確認してください。

対象となる給付は?

雇用保険の各給付のうち、下記のものが対象となります。

<対象となる給付>

高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金、育児休業給付金、介護休業給付金、一般教育訓練に係る教育訓練給付金、専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金、教育訓練支 援給付金、就業手当、再就職手当、就業促進定着手当、常用就職支度手当、移転費、広域求職活動費

「ストレスチェック制度」実施マニュアルのポイント (2015/06/01)

「ストレスチェック制度」とは?

改正労働安全衛生法により、平均的にパートや臨時の労働者も含め50名以上の労働者を使用する事業者は、今年12月1日から来年11月28日までの間にストレスチェック (以下、「SC」という)を実施し、以降毎年1回以上実施することが義務付けられます。

SCは、メンタルヘルス不調の予防に役立てるため、労働者の職場におけるストレスの程度をチェックするもので、5月7日に「実施マニュアル」と「Q&A」が公表さ れました。

実施に先立ち決めておくべきこととは?

まず、事業者が実施を表明し、衛生委員会等で関連規程や実施方法、受検案内や結果等の通知方法、関連情報の取扱いルール等を決めておく必要 があります。

また、労働者にも事前に実施について周知しておくとともに受検を促す等が必要となります。

実施マニュアルでは、これらについて、通知文書や調査票の例も挙げて解説しています。

実施後に対応すべきこととは?

結果を労働者に通知し、「高ストレス者」と判断された者には医師による面接指導を受けるよう勧めるとともに、一定規模の集団ごとに結果を分析してもらい、問題があれば職場 環境の改善や高ストレス者に対する措置等を講じる必要があります。

このとき、本人の同意なく結果に関する情報を収集したり、結果提供に同意しない労働者に不利益取扱いをしたり、医師による面接指導を申し出た労働者に不利益取扱いをしたり することはできませんので、注意が必要です。

実施マニュアルでは、こうした点も具体的に解説されています。
このほか、「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を作成し、管轄の労働基準監督署に提出する必要があります。

事前の準備を早めに始めよう

SCは労働安全衛生法で定める、事業者に実施が義務付けられるものですから、健康診断と同様、就業時間中の受検等を認める必要があるほか、費用も事業者が負担します。

疑問や不安に思うことがあれば、専門家に相談する等してスムーズに実施できるよう早めに準備を進めましょう。

通常国会に提出された「労働基準法改正案」のポイント (2015/05/03)

ついに法案提出!

労働基準法等の一部を改正する法律案(労働基準法改正案)が、4月3日に通常国会に提出されました。法案の内容は企業の労務管理にとって非常に影響が大きいものであり、4 月下旬に審議入りとなる見通しですが、今国会で成立するかは不透明な状況だとも言われています。

改正案のポイント

(1)中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し

月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置が廃止されます。

(2)著しい長時間労働に対する助言指導を強化するための規定の新設

時間外労働に係る助言指導にあたり、「労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならない」旨が明確にされます。

(3)一定日数の年次有給休暇の確実な取得

会社は、10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととされます(労働者の時季指定や計画的付与によ り取得された年次有給休暇の日数分については指定の必要はありません)。

(4)企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組促進

企業単位での労働時間等の設定改善に係る労使の取組みを促進するため、企業全体を通じて一の労働時間等設定改善企業委員会の決議をもって、年次有給休暇の計画的付与等に係 る労使協定に代えることができることとされます。

(5)フレックスタイム制の見直し

フレックスタイム制の清算期間の上限が「1カ月」から「3カ月」に延長されます。

(6)企画業務型裁量労働制の見直し

企画業務型裁量労働制の対象業務に「課題解決型提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」が追加されるとともに、対象者の健康確保措置の充実や手続きの簡素化等の見直し が行われます。

(7)特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設

職務の範囲が明確で一定の年収(少なくとも1,000万円以上)を有する労働者が、高度の専門的知識を必要とする等の業務に従事する場合に、健康確保措置等を講じること、 本人の同意や委員会の決議等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定が適用除外とされます。

また、制度の対象者について、在社時間等が一定時間を超える場合には、会社は、その者に必ず医師による面接指導を受けさせなければならない ことされます。

施行日は?

法案が成立した場合の施行期日は平成28年4月1日ですが、上記(1)については平成31年4月1日とされています。

パート時給・新卒初任給に関する調査結果にみる最近の賃金動向  (2015/05/03)

賃上げの動きは中小企業にも?

昨年と今年の春闘では、政権の働きかけにより賃上げを実施する大手企業が相次ぎ、「官製賃上げ」などの言葉が聞かれました。中小企業においても人手不足解消等のため、賃上 げに踏み切るところがありました。

2017年4月からの消費税率10%への引上げが決定された今、中小企業における賃金の動向が今後の景気を大きく左右するとして、注目され ています。

そこで、2013年度・2014年度における三大都市圏(首都圏・東海・関西)のパート募集時平均時給と、2009年~2014年の企業規模別の賃金の額に関する調査結果 から、最近の中小企業の賃金の動向を見てみましょう。

パート募集時平均時給の推移

株式会社リクルートジョブズが毎月公表している調査結果によると、2014年度の平均時給は959.8円で、2013年度の948.8円よりも10円以上上がっています。

特に、年末年始の繁忙期には2014年10月度:961円、11月度:999円、12月度:966円と、3カ月連続で平均を上回る金額と なっていました。

厚生労働省が毎月公表している一般職業紹介状況においても、パートの有効求人倍率が前年を上回る傾向が続いており、時給額の上昇からは、「より良い条件を提示して人材を確 保したい」という企業の思惑が見てとれます。

中小企業の賃金額の推移

厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、毎年常用労働者10人以上の民営事業所を対象に有効回答を得た企業の賃金の額をまとめています。

企業規模別の男性の額を比較すると、中企業(常用労働者数100~999人)では2014年:31万2,100円で、2013年:30万9,400円を上回りますが、 2009年~2014年の平均31万4,160円は下回っています。

また、小企業(常用労働者数10~99人)では2014年:28万5,900円で、2013年:28万円5,700円を若干上回り、2009年~2014年の平均28万 4,300円を1,600円上回っています。

上記を見る限りでは、中小企業全体に賃上げの動きがあると言うのは難しそうです。
同調査の2015年分の結果は、7月に調査が行われた後、2016年2月頃に公表される見通しです。中行企業の正社員にも賃上げの動きが波及 しているかは、その結果を見ることで確認できるでしょう。

これから企業に求められる「過労死等防止対策」 (2015/05/03)

過労死等の定義

過労死等とは、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡 又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害」と定義されています(厚生労働省資料)。

「過労死等防止対策推進法」が成立!

脳・心臓疾患に係る労災支給決定件数のうち、死亡に係る件数は160件に至り(平成14年度)、それ以降も100件を超えて推移していま す。

また、精神障害に係る労災支給決定件数のうち、自殺(未遂を含む)に係るものは平成18年度以降60件を超えて推移しており、平成24年度には93件に上っています。

このような過労死等が、本人はもとより、その遺族または家族のみならず日本社会にとっても大きな損失であり、社会問題になっていることを受け、昨年6月に「過労死等防止対 策推進法」が成立し、同年11月1日から施行されています。

大綱の位置付けと骨子案のポイント

上記の新法では、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するための大綱を定めなければならないと規定されていることから、「過労死等の防止のための対策に関する大綱 (案)骨子」が4月6日に発表されました。

国が取り組む対策として、主に以下のことが挙げられています。

  • 職場環境や実態の把握と過労死や病気との関係調査研究等
  • 企業や労働者への啓発
  • 相談体制の整備等

企業に求められる今後の取組み

企業には、国が取り組む対策に協力すること、そして主に以下のような対策が求められます。

  • 長時間労働の削減のための対策
  • 過重労働防止対策に必要な知識を習得するため、事業主や労務担当者を対象にしたセミナーの実施
  • 年次有給休暇の取得促進
  • 職場のパワーハラスメントの予防・解決のための周知・啓発

大綱は夏頃までにまとめられる予定ですので、企業にはその大綱に沿った具体的な対策が求められることになるでしょう。

「マイナンバー制度」対応で必要となる準備事項とは? (2015/04/02)

来年1月から番号利用がスタート

今年10月からマイナンバー(個人番号)の市区町村から全国民への通知が開始され、来年1月からはマイナンバーの利用が始まります。

制度がスタートすると、企業は給与所得の源泉徴収票の作成や社会保険料の支払い等においてマイナンバーの取扱いが必要となりなますが、日本経団連では、3月9日に「マイナ ンバー制度への対応準備のお願い」という文書を発表し、主な準備事項を示しました。

必要となる準備事項の内容は?

上記文書では、制度開始に向けて企業は次の事項を行わなければならないとされています。

  1. 対象業務の洗い出し
    (1)マイナンバーの記載が必要な書類の確認
    • 給与所得の源泉徴収票、支払調書等の税務関係書類
    • 健康保険・厚生年金保険、雇用保険関係書類
    (2)マイナンバー収集対象者の洗い出し
    • 従業員等(従業員に加えて役員やパート・アルバイトを含む)とその扶養家族
    • 報酬(講師謝礼、出演料等)の支払先
    • 不動産使用料の支払先
    • 配当等の支払先
  2. 対処方針の検討
    (1)組織体制の整備
    (2)社内規程の見直し
    (3)担当部門・担当者の明確化等
    (4)身元(実在)確認・番号確認方法に係る検討、明確化等
    (5)物理的安全管理措置の検討(区域管理、漏えい防止等)
    (6)収集スケジュールの策定

  3. マイナンバー収集対象者への周知
    (1)収集までのスケジュールの提示(収集開始時期等の確定)
    (2)教育・研修
    (3)利用目的の確定・提示

  4. 関連システムの改修(自社にてシステム構築を行っている場合)
    (1)人事給与システム
    (2)健康保険組合システム

  5. 委託先・再委託先の監督等
    (1)委託先の選定
    (2)必要かつ適切な監督を行うための契約の締結(取扱い状況を把握する方法を含む)
施行直前!「改正パートタイム労働法」への準備は万全ですか? (2015/04/02)

いよいよ4月から施行

今年4月から、改正パートタイム労働法が施行されます。短時間労働者(パートタイム労働者)を雇用されている事業主の方、準備は万全でしょ うか。

パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)の対象であるパートタイム労働者とは、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者 の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」とされています。

そして、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」等、呼び方は異なっても上記の条件に当てはまる労働者であれば、「パートタイム労働 者」となります。

適用される法律

パートタイム労働者は、「労働条件の明示」「就業規則の作成」「解雇予告」「母性保護等」「退職時等の証明」「健康診断」「割増賃金の支払い」「最低賃金」「年次有給休 暇」等について、パートタイム労働法だけではなく、通常の労働者と同様に、労働基準法・労働契約法・労働安全衛生法・最低賃金法が適用されま す。

改正パート労働法の概要

改正の概要は以下の通りとなっています。チェックリストなどを作成し、漏れのない対応ができるよう注意しましょう。

  1. 正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大

    「職務内容が正社員と同一」、「人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一」に該当すれば、有期労働契約を締結している パートタイム労働者も正社員と差別的取扱いが禁止されます。

  2. 「短時間労働者の待遇の原則」の新設

    パートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮し て、不合理と認められるものであってはならないとする、広くすべての短時間労働者を対象とした待遇の原則の規定が創設されます。

  3. パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設

    パートタイム労働者を雇い入れたときは、実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明しなければならないこととなります。

  4. パートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備の義務の新設

    パートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないこととなります。
個人情報保護法改正ですべての企業にセキュリティ対策を義務化  (2015/04/02)

個人情報の「活用」と「保護」をめぐる変化

個人情報保護法が約10年前に完全施行された後、通販サイトでの購買履歴のような、施行当時には想定されていなかったデータが"ビッグデータ"として注目されるようにな り、個人情報の定義や取扱いに関するルールを見直す必要が生じてきました。

また、来年1月からマイナンバーが導入されると、バラバラに存在する個人情報もマイナンバーを通じて個人を特定できる可能性があるため、従来の範囲を拡大して企業にセキュ リティ対策を講じさせる必要があります。

漏洩は企業の「信用」も「利益」も消失させる

大きな話題となったベネッセの事件では、今年1月29日に1,789人の被害者が総額約9,840万円の損害賠償請求訴訟を起こしていま す。

また、親会社が2月に公表した連結決算では純利益が前年同期比82.2%減となり、顧客の信用も会社の利益も、事件をきっかけに失われてし まいました。

訴訟規模は今後も拡大する模様であり、個人情報の漏洩は企業存亡の致命傷となり得ることから、セキュリティ対策は必須と言えます。

「改正個人情報保護法案」の概要

政府は上記の変化や事件を受け、3月10日に改正法案を閣議決定し、国会に提出されました。

同案では、個人情報の定義に「個人識別符号が含まれるもの」が加わったほか、「データベース提供罪」が新設され、不正な利益を図る目的での 個人情報データベースの提供・盗用は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。
また、第三者から個人データの提供を受ける場合、その取得の経緯の確認や記録の作成等を義務付けます。

さらに、個人を特定できないように加工した「匿名加工情報」の取扱いに関するルールや「個人情報保護委員会」の設置も盛り込まれました。

早めの対応着手がお勧め

改正法の施行後は、個人情報の取扱件数等にかかわらず、すべての事業者が個人情報保護法の対象となり、セキュリティ対策が義務付けられま す。

対策には、自社で扱うすべての個人情報の洗出しと種類に応じた取扱いルールの策定が必要であり、準備に時間がかかりますので、拙速な対応に よるトラブルを避けるためにも早めに着手することをお勧めします。

実務に大きな影響が!「労働時間」に関する法改正の動向 (2015/03/01)

「報告書案」が示される

労働時間をめぐる法改正の動きが活発化してきました。

2月6日に労働政策審議会労働条件分科会(第124回)が開催され、「今後の労働時間法制等の在り方について(報告書案)」が示されまし た。

前回の分科会(1月29日)での議論を踏まえて「報告書骨子案」から「報告書案」となりましたが、労使間での合意までには至らず、「報告書」の決定は持ち越しとなっていま す。

「報告書案」のポイント

上記で示された報告書案では、主に次の内容が記載されています。

  • 改正労働基準法の施行は「平成28年4月」とすること。
  • 月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率(5割以上)の中小企業への適用猶予の撤廃時期は「平成31年度」とすること。
  • 使用者に年次有給休暇の時季指定を義務付ける日数(付与日数が10日以上である労働者が対象)については「年5日」とすること。
  • 上記措置に伴い有休管理簿の作成を義務付け、3年間保存しなければならないとすること。
  • フレックスタイム制の精算期間の上限について現行の1カ月から「3カ月」に延長すること。
  • 上記精算期間内における当該月の割増賃金の支払対象は「1カ月ごとに1週平均50時間を超えた労働時間」とすること。
  • 裁量労働制の適用拡大の対象は「課題解決型提案営業の業務」「企画立案調査分析を一体的に行う業務」等とすること。
  • 高度プロフェッショナル制度の対象者の年収は「平均給与額の3倍程度を相当程度上回る」(1,075万円を想定)とすること。

今後の流れは?

今後、これまでの議論を踏まえて「報告書」が示された後、報告書の内容をもとにした労働基準法の改正案が通常国会に提出される見込みとなっ ています。

いまだ労使の対立が激しい内容も含まれていますが、企業実務に大きな影響を与える改正になりそうですので、議論の行方に注目しておかなけれ ばなりません。

「有期雇用特別措置法」の特定有期雇用労働者に係る手続き  (2015/03/01)

「有期雇用特別措置法」とは?

2013年4月施行の改正労働契約法により、有期雇用契約を反復更新して契約期間が5年超となった有期雇用労働者には「無期転換申込権」が発生することとなりました。

有期雇用特別措置法は、特定の有期雇用労働者について、契約期間が5年超となった場合でもこの無期転換申込権が発生しないこととするもので す。

本法は、2014年11月21日に臨時国会で成立、同月28日に公布され、2015年4月1日より施行されます。

「特定有期雇用労働者」とは?

本法特例の対象となる労働者は、(1)一定の高度専門的知識等を有する有期雇用労働者と、(2)定年後に有期契約で継続雇用される高年齢者 です。

(1)は、年収1,075万円以上の一定の国家資格等を有する有期雇用労働者で、「5年を超える一定期間内(上限10年)に完了することが予定されている業務」に就く者で す。

また、(2)は、再雇用や継続雇用の対象として、定年を過ぎて有期契約で雇用される者です。

対象労働者と認定されるための手続き

(1)については「第一種計画認定申請書」および対象労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置を実施することがわかる資料(労働契約書、就業規則等)を、また、(2)に ついては、「第二種計画認定申請書」および対象労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置を実施することがわかる資料(契約書・賃金規程・就 業規則等)を、管轄の労働局長に提出します。

いずれも基本指針に沿った対応がとられると認められた場合に認定されることとなります。

なお、措置の実施については、労働局長に対する報告の徴取により確認がなされることとなります。

対象労働者への対応

省令により、書面の交付による労働条件の明示が定められ、明示すべき内容も列挙されますが、実務上は、モデル労働条件通知書を参考に作成し、対象労働者に内容を説明したう え、交付することが必要です。

認定申請については、事業主に代わって社会保険労務士が事務代理をすることもできますので、書類の作成や手続きについて不安があれば、ご相 談ください。

厚労省「妊娠等を理由とする不利益取扱いに関する解釈通達」
その内容は? 注意点は? (2015/03/01)

通達が出た理由

企業は、妊娠・出産、育児休業等を「理由」として、従業員に対して不利益取扱いを行ってはなりません(男女雇用機会均等法9条3項、育児・ 介護休業法10 条等)。

例えば、妊娠中・産後の女性従業員や子を持つ従業員が、時間外労働や休日労働・深夜業をしない、育児時間を取る、短時間勤務を請求するなどを理由として、解雇や雇止め、減 給を行うこと、非正規社員とするような契約内容変更を強要すること等は、不利益取扱いにあたります。

一方、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い等の相談件数が依然として高い水準で推移していることや、昨年 10 月 23 日に男女雇用機会均等法9条3項の適用に関して最高裁判所の判決(広島中央保健生活協同組合事件)があったことなどを踏まえ、この度、厚生労働省より、「妊娠・出産、育児 休業等を理由とする不利益取扱いに関する解釈通達」(1月23日)が出されました。

通達の内容

通達では、①妊娠中の軽易業務への転換を「契機として」降格処分を行った場合、原則、男女雇用機会均等法に違反する(=妊娠中の軽易業務への転換を「理由として」降格した ものと解され、不利益取扱いにあたる)としています。

また、②妊娠・出産、育児休業等を「契機として」不利益取扱いを行った場合は、原則、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法に違反する(=妊娠・出産、育児休業等を「理由 として」不利益取扱いを行ったと解される)としており、注意が必要となります。

不利益取扱いとならない場合

ただし、①業務上の必要性から支障があるため当該不利益取扱いを行わざるを得ない場合において、その業務上の必要性の内容や程度が、法の規定の趣旨に実質的に反しないもの と認められるほどに、当該不利益取扱いにより受ける影響の内容や程度を上回ると認められる特段の事情が存在するとき、②契機とした事由または 当該取扱いにより受ける有利な影響が存在し、かつ、当該労働者が当該取扱いに同意している場合において、有利な影響の内容や程度が当該取扱い による不利な影響の内容や程度を上回り、事業主から適切に説明がなされる等、一般的な労働者であれば同意するような合理的な理由が客観的に存 在するとき等の場合は、違法とはならないとしている点にも注意してください。

厚労省が示した平成27年からの長時間労働対策 (2015/02/03)

「過重労働等撲滅チーム」の取組み

昨年9月、「長時間労働削減推進本部」が厚生労働省内に設置され、長時間労働対策が強化される方針が示されました。

この推進本部の中の「過重労働等撲滅チーム」による施策として、平成27年1月から具体的な取組みが行われます。

1月からの主な取組み

(1) 月100時間超の残業が行われている事業場等に対する監督指導の徹底

「時間外労働時間数が1カ月100時間を超えていると考えられる事業場」や「長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場」を対象とした、労働 基準監督署による監督指導(立入調査)が徹底されます。

法違反を是正しない事業場については、送検も視野に入れて対応(送検した場合には企業名等を公表)するとのことです。

(2) インターネットによる情報監視

厚生労働省がインターネット上の求人情報等を監視・収集し、その情報を労働基準監督署による監督指導等に活用されます(平成27年度からの本格実施に向けて、平成27年1 月から試行的に実施)。

高収入を謳う求人、求人を繰り返し行うもの等の過重労働が疑われる求人事案に着目して行われるようです。

(3) メンタルヘルス対策の強化

  • メンタルヘルスの一層の向上を目指し、都道府県労働局において次の取組みを実施します。
  • ストレスチェック制度の周知(改正労働安全衛生法により平成27年12月から施行)
  • ストレスチェックおよび面接指導等を行う医師、保健師等に対する研修(平成27年度からの実施に向けて、平成27年1月から準備)

ハローワークへの求人の不受理

また上記とは別に、厚生労働省では、過酷な労働を強いるいわゆる「ブラック企業」からの新卒求人を、内容にかかわらずハローワークで受理しない制度を作ることを検討してい るようです。

今年も引き続き、長労働時間等には行政の指導も厳しいようですので、適切な労働時間管理に取り組んでいくことが必要ですね。

企業の「個人情報保護対策」がますます重要な時代に! (2015/02/03)

経産省「個人情報保護ガイドライン」を改正

昨年、ベネッセコーポレーション等の有名企業における個人情報漏洩問題が頻発しましたが、経済産業省は、同様の事案の再発防止に向けて、個人情報保護法で規定された事業者 の義務を具体化・詳細化した「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」を改正しました。

これにより、事業者における個人情報保護の適正な取組みの推進、国民の個人情報の保護に関する意識向上を図るとしています。

主な改正点

本ガイドラインの主な改正点として、以下の点が挙げられます。

(1) 第三者からの適正な取得の徹底
(2) 社内の安全管理措置の強化
(3) 委託先等の監督の強化
(4) 共同利用制度の趣旨の明確化

個人情報保護法も改正案が提出予定

上記の動きとは別に、個人情報保護法についても2015年の通常国会で改正案が提出される予定となっています。改正案の骨子が「パーソナルデータの利活用に関する制度改正 に係る法律案の骨子(案)」(2014.12.19)として示されましたが、以下の内容等が盛り込まれています。

(1) 個人情報の定義の拡充
(2) 個人情報の利活用のための環境整備
(3) 個人情報保護を強化するための環境整備
(4) 個人情報保護委員会の新設

企業は個人情報管理の見直しが必要に

上記骨子案によると、取得した個人情報の利用目的を変更する場合の規則の緩和等、個人情報を保護するだけでなく、ビッグデータなどで個人情報を利活用するための環境整備に ついて規定されています。

一方、個人情報の定義が従来よりも広がり、例えば身体の特徴をデータ化したもの(指紋データ、顔認識データ等)や個人に付与される番号(携帯電話番号、運転免許証番号等) も個人情報とみなされることとなります。

また、第三者提供について確認や記録の作成の義務付け、取り扱う個人情報が少量である場合の個人情報取扱事業者からの除外規定の削除等、注視が必要な内容となりそうです。

近く「マイナンバー制度」の導入も始まりますので、企業は今後ますます個人情報の取扱いについて対策を迫られる必要が出てくるでしょう。

労務・給与担当者が押さえておきたい2015年上半期施行の主な改正事項  (2015/02/03)

労働法関連

今年4月1日より、「雇入れ時・契約更新時の労働条件に関する説明義務化」や「正社員との差別的取扱いが禁止される労働者の範囲拡大」等を内容とする改正パート労働法が施 行されます。

また、6月1日より、重大な労働災害を繰り返す企業に改善計画を提出させるほか、その指示に従わない企業名公表等を内容とする改正労働安全衛生法が施行されます。

なお、同改正によるストレスチェック制度導入は12月1日です。

労働保険関連

4月1日より、労災保険率が全54業種平均で4.8/1000から4.7/1000へと0.1/1000引下げとなります。なお、一人親方等の特別加入に係る第2種特別加 入保険料率、海外勤務者の特別加入に係る第3種特別加入保険料率も改定されます。また、労務費率の改定、請負金額の取扱いの改正および労務費 率の暫定措置の廃止も、同日施行されます。

なお、雇用保険料率は据置きの方針で、一般13.5/1000、農林水産清酒製造15.5/1000、建設16.5/1000です。

助成金・奨励金関連

2月より、「中小企業両立支援助成金」に育休復帰支援プランが新設され、「育休復帰プランナー」による支援のもと「育休復帰プラン」を策定・導入し、対象労働者が育休を取 得・職場復帰した場合に助成金が支給されることとなります。

このほか、「キャリアアップ助成金」、「トライアル雇用奨励金」、「労働環境向上助成金」、「キャリア形成促進助成金」、「建設労働者確保育成助成金」等の改正も見込まれ ています。

社会保険関連

健康保険関連として、1月1日より、高額療養費制度が改正(70歳未満の所得区分が細分化) されています。

年金保険関連として、昨年4月分から実施されている年金額の特例水準解消について、残る0.5%分の解消による改定が4月分より行われる予定です。なお、年金額は1月末に 公表される全国消費者物価指数の動向により決定されます。

その他

4月1日より、法律の有効期限の10年間延長等を内容とする改正次世代育成支援推進法が施行されます。また、労働・社会保険関連の電子申請システムについて、従業員データ の入力作業の省略が可能となる等、4月より利便性向上が図られる予定です。

1月から「高額療養費」の自己負担限度額が変更されます  (2015/01/01)

◆医療費が高額になったら…

怪我や病気がひどく、医療費が高額になってしまった場合、申請により一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が後から払い戻される健康保険の制度が、「高額療養費制度」で す。

また、事前に医療費が高額になることがわかる場合には、「限度額適用認定証」というものを提示して、支払時に減免された額だけ支払えば済む 方法もあります。

制度のポイント

払い戻しは、病院等から提出される診療報酬明細書(レセプト)の審査を経て行われますので、診療月から3カ月以上はかかるのが通常です。また、申請時には病院等の領収書が 必要になります。申請書の提出先は、全国健康保険協会または加入している健康保険組合です。

なお、他の家族(被扶養者)が同じ月に病気やけがをして医療機関にかかった場合や、1人が複数の医療機関で受診した場合などは、自己負担額を世帯で合算することができます ので、確認するとよいでしょう。

さらに、高額療養費を受けた月が、直近12カ月間に3回以上あったときは、4回目からは自己負担限度額が低減されます(多数回該当の制度)ので、その点も確認しておきま しょう。

自己負担限度額の見直し

これまで70歳未満の被保険者等に係る自己負担限度額については、所得区分が3段階に分かれていましたが、今般この区分が5段階に細分化されます(平成27年1月診療分よ り)。

自己負担限度額は、年齢(70歳未満の人、70歳以上75歳未満の人)と所得により区分されています(70歳以上75歳未満の人については、今回は変更なし)。

【70歳未満の人の区分】
(1)標準報酬月額83万円以上の人
    252,600 円+(医療費-842,000円)×1%[多数回該当:140,100円]
(2)標準報酬月額53万円以上83万円未満の人
    167,400 円+(医療費-558,000 円)×1%[多数回該当:93,000円]
(3)標準報酬月額28万円以上53万円未満の人
    80,100 円+(医療費-267,000円)×1%[多数回該当:44,400円]
(4)標準報酬月額28万円未満の人
    57,600円[多数回該当:44,400円]
(5)市町村民税が非課税の人
    35,400 円[多数回該当:24,600円]

「マイナンバー制度」に対応した社会保険・雇用保険関係の新様式(案)が公開! (2015/01/01)

社会保険関係の改正は1年先送り

平成28年1月からスタートする「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)」に対応した新様式の案(一部)が厚生労働省ホームページで公 開されました。

また、説明資料「社会保障・税番号制度の導入に向けて(社会保障分野)~事業主の皆様へ~」も最新版が公開され、新様式への改正(個人番号欄・法人番号欄の追加等)につい ては、雇用保険関係は平成28年1月からの施行となりますが、社会保険関係は平成29年1月からの施行と1年先送りされたようです。

【社会保険関係】(平成29年1月1日提出分~)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000070084.pdf

  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険 70歳以上被用者該当届…個人番号を記入できない場合は基礎年金番号(10桁)と住所を記入
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届/厚生年金保険 70歳以上被用者不該当届…個人番号を記入できない場合は基礎年金番号(10桁)を記入
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険 70歳以上被用者算定基礎届…個人番号欄には70歳以上被用者のみ記入(個人番号を記入できない場合は基礎年金番号を記入)
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届…個人番号欄には70歳以上被用者のみ記入(個人番号を記入できない場合は基礎年金番号を記入)
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届/厚生年金保険 70歳以上被用者賞与支払届…個人番号欄には70歳以上被用者のみ記入(個人番号を記入できない場合は基礎年金番号を記入)
  • 健康保険被扶養者(異動)届/国民年金第3号被保険者関係届
  • 新規適用届等に「法人番号」を追加予定

【雇用保険関係】(平成28年1月1日提出分~)

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000070081.pdf

  • 雇用保険被保険者 資格取得届
  • 雇用保険被保険者 資格喪失届・氏名変更届
  • 雇用保険被保険者 離職票・資格喪失確認通知書
  • 未支給失業等給付請求書
  • 雇用保険日雇労働被保険者資格取得届
  • 教育訓練給付金支給申請書
  • 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票
  • 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
  • 介護休業給付金支給申請書
  • 雇用保険適用事業所設置届等に「法人番号」を追加予定

なお、税務関係の新様式(案)については、12/5に法定調書関係が、12/24に源泉所得税関係が国税庁ホームページで公開されています。

http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/mynumberinfo/
jizenjyoho/index.htm

【法定調書関係】

  • 配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 生命保険契約等の一時金の支払調書
  • 生命保険契約等の年金の支払調書
  • 先物取引に関する支払調書
  • 特定口座年間取引報告書

【源泉所得税関係】

  • 平成28年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 平成28年分給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書
  • 平成28年分従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
  • 平成28年分公的年金等の扶養親族等申告書
  • 退職所得の受給に関する申告書


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