過去の事務所便り
年次有給休暇の取得が過去最高に~厚労省「令和5年度就労条件総合調査」 (2023/12/01)
◆年次有給休暇の取得率が初の6割超え
厚生労働省の令和5年「就労条件総合調査」結果によると、令和4年の年次有給休暇の付与日数の平均は17.6日(前年調査17.6日)、実 際に取得した日数は10.9日(同10.3日)で、平均取得率は62.1%(前年比3.8ポイント増)と初めて6割を超え、昭和59年以降で は過去最高となりました。
産業別にみると、郵便局、農業協同組合等の「複合サービス事業」が74.8%と最も高く、「宿泊業、飲食サービス業」が 49.1%と最も低くなりました。
政府は、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和3年7月30日閣議決定)において、令和7年までに年次有給休暇取得率を70%
以上とすることを目標に掲げています。
◆有給休暇の取得率を上げるためには?
厚生労働省は、毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」として、年次有給休暇を取得しやすい環境整備を推進するための集中的な広報を行っ ています。今年は、リーフレットにて「年次有給休暇の計画的付与制度」の導入、年次有給休暇付与計画表による個人別付与方式の活用方法につい て紹介しました。
平成31年4月に年次有給休暇の年5日取得義務が施行されて以来、年次有給休暇の取得率は過去最高となりましたが、政府の目標の70%には 及ばない状況です。年次有給休暇の取得率を上げるにはどのような取組みが必要なのか、取得のすすまない企業は厚生労働省の年次有給休暇取得促 進特設サイト等を参考にしながら検討する必要があるでしょう。
【厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況」】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/23/index.html
【厚生労働省リーフレット「10月は「年次有給休暇取得促進期間」です。」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11911000/001150923.pdf
【厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト内「年次有給休暇取得促進特設サイト」】
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuuka-sokushin/
12月は「職場のハラスメント撲滅月間」です (2023/12/01)
厚生労働省は、毎年12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、ハラスメントのない職場づくりを推進するため、集中的な広報・啓発活動を
実施しています。
ハラスメントとは、相手の意に反した言動等により相手に不快を与える嫌がらせ行為をいいます。性的な嫌がらせ行為であるセクシュアルハラス メント、職場での優位性をふりかざすパワーハラスメントのほか、妊娠や出産に関するマタニティハラスメント等、様々なハラスメントがありま す。
職場のハラスメントは、企業にとっても職場秩序の乱れや貴重な人材の損失、社会的評価にも悪影響を与えるなど大きな問題となりかねません。
また、職場内でのハラスメントだけでなく、就職活動中の学生などの求職者やインターンシップ、教育実習生などへのハラスメントなどにも積極的
に取り組むことが望まれます。
◆職場のパワーハラスメントとは
令和4年4月から、パワハラ防止措置がすべての企業で義務化されました。
職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた
ものにより、③労働者の就業環境が害されるもの であり、①から③までの3つの要素をすべて満たすものをいいます。
◆職場のセクシュアルハラスメントとは
職場におけるセクシュアルハラスメントとは、「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件につ いて不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。「職場」とは、労働者が通常働いているところはもちろん、出張先や実質的に職務の 延長と考えられるような宴会なども職場に該当します。また、「労働者」とは、正社員だけではなく、契約社員、パートタイム労働者など、契約期 間や労働時間にかかわらず、事業主が雇用するすべての労働者をいいます。
12月は忘年会のシーズンでもありますが、飲み会が職場と見なされるケースもあります。
日頃から自らの言動に注意するとともに、上司・管理職の立場の方は、部下の言動にも気を配り、セクシュアルハラスメントの背景となり得る言 動についても配慮することが大切です。
職場における各種ハラスメント防止対策の実施や相談窓口の設置など、社内での体制づくりを行い、明るい職場環境づくりに取り組みましょう。
【厚生労働省「あかるい職場応援団」】
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
今年度の被扶養者資格再確認における「年収(130万円)の壁」対応 (2023/12/01)
◆「被扶養者資格再確認」とは?
健康保険の被扶養者は、法令で毎年一定の期日を定め確認することとされています。協会けんぽ加入事業者には、令和5年度分の書類が、令和5
年10月下旬から11月上旬にかけて順次発送されます。
◆提出期限までに事業者がすべきことは?
提出期限は、令和5年12月8日(金)です。期限までに、自社の被保険者に対して、令和5年9月16日現在の被扶養者(4月1日時点で18 歳未満の方、4月1日以降に被扶養者になった方、任意継続被保険者の被扶養者は対象外)について、文書等により被扶養者の要件を満たしている かを確認し、被扶養者状況リストに結果を記入します。
別居している被扶養者、海外に在住している被扶養者については厳格な方法による再確認が必要となるため、協会けんぽから送られてくる被扶養
者状況リストに同封の被扶養者現況申立書を記入し、確認書類とともに提出します。
◆「年収(130万円)の壁」対応の内容は?
政府の「年収の壁・支援強化パッケージ」により、年収が130万円以上であっても人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入増加であ る場合、その旨の事業主証明を添付することで、迅速な被扶養者認定を可能とする方針が示されました。
そのため、上記に該当することが確認できた場合は、被扶養者状況リストの「変更なし」にチェックをしたうえで、「一時的な収入変動」に係る 事業主証明と併せて提出します。所得証明書等を提出する必要はありません。
なお、収入増加の理由が人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入増加でない場合は、事業主証明の提出は不要です。
【全国健康保険協会「事業主・加入者のみなさまへ「令和5年度被扶養者資格再確認の実施方法等について」(令和5年11月9日更新)」】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/event/cat590/info231023/
「年収の壁」への当面の対応・支援強化パッケージの詳細が発表されました (2023/11/01)
厚生労働省は、労働者が社会保険料の負担による手取り収入の減少を避けるために就業調整をする、いわゆる「年収の壁」問題への当面の対策とし
て、支援強化パッケージの詳細を発表しました。パッケージは、10月から順次実施されます。
◆106万円の壁への対応
- キャリアアップ助成金のコースの新設
短時間労働者を新たに被保険者とする際に、労働者の収入を増加させる取組みを行った事業主は、一定期間助成(労働者1人当たり最大50万 円)を受けることができます。
助成対象の取組みには、賃上げや所定労働時間の延長のほか、保険料負担に伴う手取り収入の減少分に相当する手当(社会保険適用促進手当) の支給も含まれます。 - 社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外
事業主は、当該労働者に対し、給与・賞与とは別に「社会保険適用促進手当」を支給できます。また、労使双方の保険料負担を軽減する観点か ら、社会保険適用促進手当については、労働者負担分の保険料相当額を上限として、最大2年間、標準報酬月額・標準賞与額の算定に考慮しま せん。
◆130万円の壁への対応
- 事業主の証明による被扶養者認定の円滑化
直近の年間収入が、被扶養者の認定の要件である130万円を超える見込みとなった場合、過去の課税証明書、給与明細書、雇用契約書等に加 えて、人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで、直ちに被扶養者認定を取り消される ことはなく、総合的に将来収入の見込み額から判断し、迅速な認定を受けることができます。
◆配偶者手当への対応
- 企業の配偶者手当の見直し促進
令和6年春の賃金見直しに向けた労使の話し合いの中で、中小企業においても配偶者手当の見直しが進むよう、見直しの手順をフローチャート で示す等わかりやすい資料を作成・公表します。また、各地域で開催されるセミナーで説明、中小企業団体等を通じての周知活動を行います。
【いわゆる「年収の壁」への当面の対応について(令和5年9月27日 全世代型社会保障構築本部決定)】
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001150697.pdf
雇用調整助成金の支給額算定方法が変わります (2023/11/01)
雇用調整助成金は、前年度の雇用保険料の算定基礎となった賃金総額を用いて1日あたりの助成額単価を算定する方法(平均賃金方式)等により支
給額が算定されていましたが、その平均賃金方式が令和6年1月から廃止され、実際に支払った休業手当等の総額を用いた算定方法(実費方式)に
一本化されることになりました。
◆改正前(令和5年12月31日以前の日を初日とする判定基礎期間まで)
支給額は、次のAまたはBと、Cを比較して、いずれか少ない方となります。
A:平均賃金方式(平均賃金額(※)×休業手当の支払率×休業等の延日数×助成率)
※労働保険の確定保険料申告書の賃金総額や被保険者数等から算定したもの
B:実費方式(実際に支払った休業手当等の総額×助成率)
↓AまたはBを選択して、Cと比較
C:基本手当日額の上限額(※)×休業等の延日数
※8,490円(令和5年8月1日現在)
◆改正後(令和6年1月1日以降の日を初日とする判定基礎期間から)
支給額は、BとCを比較して、いずれか少ない方となります。
B:実費方式(実際に支払った休業手当等の総額×助成率)
C:基本手当日額の上限額(※)×休業等の延日数
※8,490円(令和5年8月1日現在)
休業手当または教育訓練に係る賃金が、通常の賃金等と明確に区分されて表示されている賃金台帳等に加え、休業手当等の具体的な算定過程がわか
る書類を整備し、労働局からの求めに応じて提出することが必要です。
改正前後いずれであっても、残業相殺によって上記により算定した額よりも支給額が少なくなることがあります。残業相殺については雇用調整助 成金ガイドブックをご確認ください。
【厚生労働省「令和6年1月から支給額の算定方法を改めます(令和5年9月29日)」】
https://www.mhlw.go.jp/content/001151579.pdf
【厚生労働省「雇用調整助成金ガイドブック(令和5年9月29日現在版)」】
https://www.mhlw.go.jp/content/000656127.pdf
雇用保険手続における事業主印の押印が廃止されています (2023/11/01)
◆大半の手続きは令和2年に押印を廃止済み
行政手続における押印は、手続きのオンライン化やテレワークの妨げになるとして、「規制改革実施計画」(令和2年7月17日閣議決定)によ り、恒久的な制度的対応として廃止されることとなりました。
厚生労働省関係の手続きにおいても既に廃止済みとなっていましたが、雇用保険手続のうち、一部の手続きで押印が存続していました。
◆10月より事業主印の押印はすべて廃止
押印が存続していたのは、(1)あらかじめ登録された印影と照合する「事業所設置届」、「事業所各種変更届」等、また(2)労働者が行う手 続きですが、事業主の証明により支給要件を満たすことを確認する必要がある「再就職手当支給申請書」、「就業促進定着手当支給申請書」等で す。
9月29日、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令」(厚生労働省令第124号)が発出され、10月1日よりこれらの手続きにおいても
事業主印の押印はすべて廃止されました(金融機関に対する届出印等の一部を除く)。
◆書類の改ざん等のリスクはないか?
特に上記(2)の申請書等には、事業主として雇用期間中の賃金支払状況等を記載することとなるため、改正後の申請書等における改ざん等のリ スクが気になるところです。
これについては、押印は廃止されたものの、改正後の申請書に「(注)記載内容について、記載した方に直接確認する場合があります。」との表 示が行われ、改ざん等の抑止力を確保する対策が講じられています。
【厚生労働省「第182回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35101.html
【令和5年9月29日官報号外第204号108頁】
https://kanpou.npb.go.jp/20230929/20230929g00204/20230929g002040108f.html
【厚生労働省「押印見直し」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/jyouhouseisaku/index_00001.html
令和6年度認可保育所等入所分の就労証明書について (2023/10/05)
◆「就労証明書」とは?
認可保育所等の入所を申し込む際に保護者が市区町村に提出する書類で、企業で働いている人が申し込む場合、企業の人事担当者が作成します。
これまで、市区町村ごとに異なるフォーマットが使用されていたため、書類作成が担当者の負担となっていました。
◆「ローカルルール」をなくして様式を統一
そこで、「規制改革実施計画」(令和5年6月16日閣議決定)にて、様式を統一し雇用主が就労証明書を地方公共団体にオンラインで提出する ことも選択できることが可能となるよう、システムを構築するとの方針が示されました。
令和5年5月29日には事務連絡「就労証明書の標準的な様式について(周知)」が発出され、令和6年4月入所分に係る就労証明書の標準的な
様式が示されていました。
◆令和6年度入所分の雇用主によるオンライン提出は見送り
9月1日、事務連絡「令和6年度入所分の就労証明書提出について」が発出され、雇用主によるオンライン提出方式には対応せず、申請者が入所 申請を行う際に就労証明書を添付する従来どおりの提出方式を継続することが明らかになりました。
オンライン提出方式への対応が見送られた理由は、企業の担当者と市区長との双方に事務負担が生じることなどを総合的に勘案した結果とされ、
今後、より負担軽減となる提出方式が実現できるよう引き続き検討するとされています。
◆9月15日より新様式が利用可能
令和6年度入所分の就労証明書については、マイナポータルの「ぴったりサービス」に9月14日に標準的な様式が掲載され、9月15日より利 用可能となります。
【こども家庭庁「令和6年度入所分の就労証明書提出について(令和5年9月1日事務連絡)」】
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/3ceda661/20230904_policies_hoiku_30.pdf
「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」についての議論が取りまとめられました (2023/10/05)
◆生成AIの登場によってデジタル人材の育成やスキルにも影響が……
経済産業省は8月、同省の「デジタル時代の人材政策に関する検討会」において、「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」を 公表しました。検討会では、生成AIを適切かつ積極的に利用する人材・スキルの在り方について議論され、現時点でのとるべき対応として以下の 3つが挙げられています。
(1) 生成AIが社会にもたらすインパクト
- 生成AIはホワイトカラーの業務を中心に、生産性や付加価値の向上等に寄与し、大きなビジネス機会を引き出す可能性
- 企業視点では、生成AIの利用によるDX推進の後押しを期待、そのためには経営者のコミットメント、社内体制整備、社内教育のほか、 顧客価値の差別化を図るデザインスキル等が必要
(2) 生成AIがデジタル人材育成やスキルに及ぼす影響
- 人材育成と技術変化のスピードのミスマッチに留意し、その時々で環境変化をいとわず主体的に学び続けること、そのための企業内での環 境整備等が必要
- 生成AIを適切に使う指示(プロンプト)の習熟等とともに、従来のスキル(戦略的思考、批判的考察力等)も引き続き重要
- 自動化が進み「作業」が大幅に削減され、専門人材を含む人の役割がより創造性の高いものに変わり、人間ならではのクリエイティブなス キル(起業家精神等)やビジネス・デザインスキル等が重要
- 生成AIの利用により業務が効率化されることで、社会人が業務を通じて経験を蓄積する機会の減少を認識する必要
(3) 生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキル(リテラシーレベル)の考え方
- マインド・スタンス(変化をいとわず学び続ける)やデジタルリテラシー(倫理、知識の体系的理解等)
- 言語を使って対話する以上は必要となる、指示の習熟、言語化の能力、対話力(日本語力含む)等
- 経験を通じて培われる、「問いを立てる力」「仮説を立てる力・検証する力」等
◆生成AIの利用について学べる講座も
政策での対応として、生成AIの登場や進化を踏まえた「デジタルスキル標準(DSS)」の改訂版を公表しました。また、ポータルサイト「マ ナビDX」(https://manabi-dx.ipa.go.jp/) において、生成AIの利用方法を学べる講座の追加掲載などを実施しています。
検討会では、生成AIおよびその利用技術は絶え間なく進展しているため、人材・スキルに与える影響について、今後も議論を続けていくとして います。
【経済産業省「「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」 を取りまとめました」】
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230807001/20230807001.html
「心理的負荷による精神障害の認定基準」が改正されました (2023/10/05)
◆改正の背景
「心理的負荷による精神障害の認定基準」が改正され、令和5年9月1日に通知されました。精神障害・自殺事案については、これまで平成23
年策定の「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に基づき労災認定が行われていました。「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討
会」(厚生労働省)は、社会情勢の変化等に鑑み、最新の医学的知見を踏まえて検討を行い、今年7月にその報告書が取りまとめられたことを受
け、今回の改正となりました。
◆改正のポイント
認定基準改正のポイントとなるのは次の3点です。
(1) 業務による心理的負荷評価表(※)の見直し
- 具体的出来事「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加
- 具体的出来事「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加
- 心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記等)
※実際に発生した業務による出来事を、同表に示す「具体的出来事」に当てはめ負荷(ストレス)の強さを評価
(2) 精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
- 悪化前おおむね6カ月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分に ついて業務起因性を認める
(3) 医学意見の収集方法を効率化
- 専門医3名の合議により決定していた事案について、特に困難なものを除き1名の意見で決定できるよう変更
労災事案を防ぐためにも、従業員の心理的負荷の軽減について検討していきましょう。
【厚生労働省「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34888.html
令和5年度最低賃金額 全国平均で初の1,000円超え (2023/09/03)
◆目安はAランク41円、Bランク40円、Cランク39円
7月28日、中央最低賃金審議会で令和5年度の地域別最低賃金額改定の目安の答申が取りまとめられ、Aランク41円、Bランク40円、Cラ ンク39円に決定しました。引上げ額はこれまでで最も大きく、全国平均で時給1,002円と、初めて1,000円を超えました。
これを受けて全国の地方最低賃金審議会で議論が始まり、8月7日には東京都では41円引き上げて1,113円、また秋田県では過去最高の上
げ幅となる44円引き上げて897円とするよう答申した、と報じられています。
◆引上げ額の目安が4.3%を基準として検討された理由
政府の方針や賃金、通常の事業の賃金支払能力、労働者の生計費を総合的に勘案して4.3%が基準とされましたが、目安の議論を行ってきた公
益委員見解では、消費者物価の上昇が続いていることや、昨年 10 月から今年6月までの消費者物価指数の対前年同期比は
4.3%と、昨年度の全国加重平均の最低賃金の引上げ率(3.3%)を上回る高い伸び率であったこともあり、特に労働者の生計費を重視した目安額としたとされています。ま
た、この目安額が中小企業・小規模事業者の賃金支払能力の点で厳しいものであると言わざるを得ない、ともしています。
◆厚生労働大臣が中小企業・小規模事業者に対する支援策に言及
中央最低賃金審議会の答申において要望のあった、業務改善助成金の対象事業場拡大等について、加藤厚生労働大臣は8月8日の記者会見におい て、できるだけ早期に行うよう検討を進め、検討内容を踏まえて後日発表したいと表明しています。
【厚生労働省「令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34458.html
シニア雇用に関する、シニア・若手・経営者の思い (2023/09/03)
シニアの働き方に関し、シニア自身、同僚となる若手、雇用主である経営者等、それぞれを対象とした個別の調査はよく行われていますが、それら
を同時に行った調査はあまり見かけません。
そのような中、特定非営利活動法人YUVECの調査「シニア雇用ならびにシニアの働き方に関するアンケート」は、調査対象それぞれの感じ方
が同時にわかる調査となっています。
◆経営者・シニアそれぞれの考える問題点
初回となる2020年度調査では、下記のような傾向(いずれも複数回答)が明らかになりました。
〇経営者が問題だと思うシニアの資質
①自分のやり方、経験に拘る(66.7%)、②ITに弱い(37.0%)、③新しいことを憶えてくれない(29.6%)、④自分の経験を自 慢する(22.2%)
〇シニアが感じている一般的なシニアの問題点
①フルタイム勤務を嫌がる(49.7%)、②ITに弱い(39.9%)、③自分のやり方・経験に拘る(39.9%)、④新しいことを憶えな い(17.5%)
この傾向は3回目となる2022年度調査でもおおむね同様で、経営者はシニアが考えるほどフルタイムで働かないことを嫌ってはおらず、むし
ろ自分のやり方や経験に拘ることを嫌っている点、シニア自身の感じ方とは著しい乖離があります。
◆若手・中堅が望むシニア像
一方、職場で同僚となる若手・中堅層が望むシニア像としては次のような回答が上位に来ています(4位は同率)。
①人柄がよい、②技術、経験、業界(商品)知識、人脈等会社に役立つ何かを持っている、③自ら手を動かす、④過去の事例に詳しく、自分の仕 事の役に立つ、④若手とうまくコミュニケーションができる
人手不足感がますます強まる中、シニアを特別視せず、シニア雇用のメリットを活かした職場づくりを考えるにあたっては、このような調査も参 考としたいですね。
【特定非営利活動法人YUVEC「2022年度版 シニア雇用ならびにシニアの働き方に関するアンケート」】
https://www.yuvec.org/news/mada-dekiru-hito/2023/03/22/7693/
◆改正育児・介護休業法と男性育休
育児・介護休業法の改正により、令和4年10月から「産後パパ育休」(出生時育児休業)や「育児休業の分割取得」が施行されています。本改
正は男女とも仕事と育児を両立できるよう設けられたもので、特になかなか進んでいなかった男性の育児休業の取得については、その対応が求めら
れているところです。
◆男性の育休取得者の割合は約17%
厚生労働省が公表した「令和4年度雇用均等基本調査」によれば、令和2年10月1日から令和3年9月30日までの1年間に配偶者が出産した 男性のうち、令和4年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む)の割合は17.13%となっています。
この数値は上記改正施行前の状況によるものですが、前回調査(令和3年度:13.97%)より約3ポイントの上昇、過去最高となっていま
す。同調査の10年前の数値が2%程度だったことを考えると、近年、急上昇しているといえます。
◆求められる育休支援の取組み
政府は6月に策定された「こども未来戦略方針」で、2025年までに男性育休取得率を50%へ引き上げる方針を示しました。同方針では、そ の他、男性が一定期間以上の「産後パパ育休」を取得した場合の給付率の引上げや、育児休業を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置の 拡充なども挙げられています。
近時、男性でも育児休業が取りやすい環境かどうかは、求職者の企業選びにおいても判断材料となってきています。企業への助成の動きも注視つ つ、今後より一層、育児休業支援の取組みについて検討していきたいところです。
【厚生労働省「令和4年度「令和4年度雇用均等基本調査」の結果概要」】
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r04/07.pdf
永年勤続表彰金の社会保険、労働保険および課税上の取扱い (2023/08/01)
◆社会保険上の取扱い
今年6月27日に、「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」に以下の問答が追加されました。
問 事業主が長期勤続者に対して支給する金銭、金券又は記念品等(以下「永年勤続表彰金」という。)は、「報酬等」に含まれるか。
答 永年勤続表彰金については、企業により様々な形態で支給されるため、その取扱いについては、名称等で判断するのではなく、その内容に基
づき判断を行う必要があるが、少なくとも以下の要件を全て満たすような支給形態であれば、恩恵的に支給されるものとして、原則として「報酬
等」に該当しない。
ただし、当該要件を一つでも満たさないことをもって、直ちに「報酬等」と判断するのではなく、事業所に対し、当該永年勤続表彰金の性質につい
て十分確認した上で、総合的に判断すること。
【永年勤続表彰金における判断要件】
- 表彰の目的
企業の福利厚生施策又は長期勤続の奨励策として実施するもの。なお、支給に併せてリフレッシュ休暇が付与されるような場合は、より福利厚 生としての側面が強いと判断される - 表彰の基準
勤続年数のみを要件として一律に支給されるもの - 支給の形態
社会通念上いわゆるお祝い金の範囲を超えていないものであって、表彰の間隔が概ね5年以上のもの
◆労働保険上の取扱い
行政手引50502によると、「勤続年数に応じて支給される勤続褒賞金は、一般的には、賃金とは認められない。」とされています。
◆課税上の取扱い
国税庁のタックスアンサーNo.2591によると、創業記念で支給する記念品や永年にわたって勤務している人の表彰に当たって支給する記念 品などは、一定の要件を満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。
ただし、記念品の支給や旅行や観劇への招待費用の負担に代えて現金、商品券などを支給する場合には、その全額(商品券の場合は券面額)が給 与として課税されます。
【厚生労働省「「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について」(令和5年6月27日事務連絡)】
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230629T0010.pdf
精神障害に関する労災補償状況~厚労省 令和4年度「過労死等の労災補償状況」より (2023/08/01)
◆令和4年度の精神障害の労災請求件数、支給決定件数は過去最多
厚生労働省が公表した令和4年度「過労死等の労災補償状況」によれば、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労 災請求件数は2,683件で前年度比337件の増加、支給決定件数は710件で前年度比81件の増加となっています。
この数はいずれも統計開始から過去最多となっています。
◆業種別では医療・福祉、年齢別では40~49歳が最多
業種別では、医療・福祉(請求624件、支給決定164件)が最多となっており、次いで製造業(請求392件、支給決定104件)、卸売 業・小売業(請求383件、支給決定100件)が続いています。
また、年齢別では、請求件数、支給決定件数いずれも40~49歳が最多となっています。
◆出来事の類型ではパワハラが最多
支給決定件数の出来事の類型別では「パワーハラスメント」が147件で最多となっています。その他、「同僚等から、暴行又は(ひどい)いじ
め・嫌がらせを受けた」や「セクシュアルハラスメント」などハラスメント関連の類型によるものが目立ち、ハラスメントに関する問題は影響が大
きいことがわかります。
◆労災認定基準の改正も
精神障害の労災認定基準については、業務による心理的負荷評価表の見直し(具体的出来事にいわゆるカスタマーハラスメントが追加等)がされ るなど、近く改正予定となっています。引き続き職場のハラスメント対応やメンタルヘルス対応については気をつけていきたいところです。
【厚生労働省「令和4年度「過労死等の労災補償状況」精神障害の労災補償状況」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001113802.pdf
性的少数者のトイレ使用制限に関する最高裁の初判断が示されました (2023/08/01)
◆国の対応を違法とする初判断
7月11日、戸籍上は男性で性同一性障害の経済産業省職員に対するトイレの使用制限について、最高裁第3小法廷は国の対応を「裁量権の範囲 を逸脱し違法」とし、制限を不当と判断しました。
この制限は、女性トイレ使用に関する要望を受けて開かれた職員向け説明会でのやり取りを踏まえ経済産業省が決定したもので、下級審では判断
が分かれていました。
◆判断理由
最高裁は「他の職員への配慮を過度に重視し、原告の不利益を不当に軽視するもので、著しく妥当性を欠く」とし、理由を次のように挙げていま す。
- 女性ホルモンの投与や≪…略…≫を受けるなどしているほか、性衝動に基づく性暴力の可能性は低い旨の医師の診断も受けている
- 女性の服装等で勤務し、本件執務階から2階以上離れた階の女性トイレを使用するようになったことでトラブルが生じたことはない
- 数名の女性職員が違和感を抱いているように見えたにとどまり、明確に異を唱える職員がいたことはうかがわれない
- 約4年10カ月の間に、上告人による本件庁舎内の女性トイレの使用につき、特段の配慮をすべき他の職員が存在するか否かについての調 査が改めて行われ、本件処遇の見直しが検討されたこともうかがわれない
◆今後の対応
裁判官の補足意見には、使用制限について、当初の必要性は認めつつ、教育等により理解を得るための努力を行い、必要に応じて見直すなどが必 要だったとするものがあります。
また裁判長は、今後、事案の積重ねを通じて指針や基準が形作られることに期待したいとしています。
【裁判所ホームページ判決文】
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/191/092191_hanrei.pdf
マイナンバーカードの登録情報が誤っていた場合の対処 (2023/07/02)
◆誤紐付けが相次いで発覚
マイナンバーカードに紐付けされた情報に次々と誤りが見つかっています。万が一誤った情報が登録されていることに気づいた場合の対処法を紹
介します。
◆健康保険証情報
フリーダイヤル(0120-95-0178。音声ガイダンスに従って「4→2」に進む)か、加入している医療保険の保険者に問い合わせま す。
情報が正しく登録されているかを確認する場合は、マイナポータルにログインし、「注目の情報」の「最新の健康保険証情報の確認」を押して、
「あなたの健康保険証情報」から、登録されている健康保険証情報を確認します。
◆公金受取口座情報
マイナポータルにログインし、「注目の情報」の「公金受取口座の登録・変更」を押して「公金受取口座の登録状況ページ」にて、登録されてい
る情報を確認します。口座情報に誤りがある場合は、このページから登録口座の削除を行います。
◆マイナポイントに関する情報
「マイナポイント」アプリ・サイトのトップ画面から「申込み状況を確認」を押すと、マイナポイント申請が正しく登録されているか確認できま す。
申込みをした覚えがないのに申込済みとなっていた場合や心当たりのない決済サービスが登録されていた場合は、上記フリーダイヤルで音声ガイ ダンスに従って「5」に進むか、申込みをした自治体(手続支援窓口)に問い合わせます。
問合せの際は、上記サイト・アプリの「申込状況の確認」から、「マイキーID」「申込日時」「決済サービス」「決済サービスID」の情報が
必要になります。
【デジタル庁「よくある質問:マイナンバーカードの健康保険証利用について」】
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/faq-insurance-card/
【デジタル庁「マイナンバーカード関連サービスの誤登録等の事案に関するご質問・ご不安にお答えします」】
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/related-services-issue/
人手不足に陥っていない企業はどういった施策をとっているか (2023/07/02)
総務省の統計では、2022年12月時点で、日本の15~64歳人口は前年同月比0.28%減、人数にすると20万8,000人も減っていま
す。また、これから働く年齢になる15歳未満人口は同29万3,000人も減少しています。総人口の推移を見ると、2019年以降加速度的に
減少しており、2023年5月時点の概算では、総人口は前年同月比57万人減となっています。
◆人手が不足していない企業がしていること
新型コロナの5類移行を受け、多くの企業で人手不足感が高まるなか、不足していないという企業もあります。帝国データバンクのアンケート調 査の結果によると、「人手が不足していない要因」(複数回答)として、主に次のような施策を挙げた企業が多くありました。
- 賃金や賞与の引上げ(51.7%)
- 働きやすい職場環境づくり(35.0%)
- 定年延長やシニアの再雇用(31.2%)
- 福利厚生の充実(26.6%)
- 公平で公正な人事評価(22.0%)
2.の「働きやすい職場環境」とは清潔保持や休憩スペース、社内相談窓口の設置などです。また、4.と5.は、労働者が自身の成長を感じら
れたり、安心できる職場にあるという施策です。
◆賃上げの必要性
世界的な物価高騰を受け実質賃金が低下するなか、賃金や賞与の引上げに取り組めない企業(あるいは取り組む姿勢を見せていない企業)では、 従業員満足度や安心感が低下して優秀な人材が流出し、企業の競争力低下から新規採用もおぼつかなくなる、運よく採用できたとしても人を育てる 余裕がなく早期離職……、というような悪循環に陥ります。
「人は石垣、人は城」という古語にもある通り、会社を支える一番の力は、信頼できる人の力です。会社を信頼してくれる従業員が1人でも多く
育つよう、会社は自らの進む先を示しつつ率先して変わるべきでしょう。
【帝国データバンク「企業における人材確保・人手不足の要因に関するアンケート」】
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p230506.pdf
副業への労働者の意識は?~(独)労働政策研究・研修機構の調査より (2023/07/02)
平成30年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定(令和2年9月に改定)するなど、政府は副業・兼業(以下、「副業」とい
う)を推進しており、企業にもそのための対応を求めているところです。では、実際、労働者の副業の実施状況や副業への意識はどのようになって
いるのでしょうか。
◆副業をしている人は6.0%
独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した「副業者の就労に関する調査」(調査期間:令和4年10月3日~10月13日。有効回 答:18万8,980人(18~64歳の男女))によれば、仕事を持つ人のうち「副業者」(仕事は2つ以上(副業をしている))の割合は 6.0%となっており、まだ副業をしている人の割合が高いとはいえない状況です。
また、本業の勤め先に副業をしていることを「知らせていない」が37.5%となっており、実際には副業をしていても本業先に伝えていない人
も一定数いることがわかります。
◆副業を希望する人は約3割
調査数値をみるとまだ広まっているとはいえない副業ですが、同調査で、今後副業をしたいと思うか尋ねたところ「副業したいと思う」が 33.2%となっています。
これは「副業したいとは思わない」(46.2%)を下回りますが、副業を希望する理由の上位に挙がっている「収入
を増やしたいから」「定年後に備えるため」の背景にある労働環境が続いていけば、今後副業の実施状況も変化するかもしれません。
◆副業にまつわる企業実務
副業者の労務に関しては、労働時間管理や労働・社会保険など実務上押さえておくべきポイントが多岐にわたります。今後は、副業者がいない企
業についても、あらかじめこれらの知識をある程度身につけておく必要があるでしょう。
【独立行政法人労働政策研究・研修機構「副業者の就労に関する調査」プレスリリース】
https://www.jil.go.jp/press/documents/20230519.pdf
新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応 (2023/06/02)
◆5類移行に伴う新型コロナに対する考え方は?
5月8日から、新型コロナウイルス感染症は感染症法上の位置づけを「5類感染症」に引き下げ、マスクの着用や外出自粛の要請は季節性インフ ルエンザと同様に、企業や個人に委ねられることになりました。
そのうえで、厚生労働省は、新型コロナウイルスに感染した場合、これまでの分析結果や諸外国の事例を踏まえ、以下を推奨しています。
- 発症後5日を経過し、かつ、症状軽快から24時間経過するまでの間は外出を控える
- 発症後10日間が経過するまでは、マスクを着用し高齢者等との接触は控える
また、濃厚接触者として保健所から特定されることはなくなり、外出自粛を要請されることはなくなりました。
家族や同居者が新型コロナウイルスに感染した場合は、可能であれば部屋を分け、感染者の世話はできるだけ限られた人のみで行うことなどに注
意する必要があります。また、感染者の発症日を0日として、特に5日間は自身の体調に注意し、7日目までは発症する可能性があるため、マスク
着用等の感染対策や周囲への配慮が必要です。
◆医療提供体制について
これまでは新型コロナウイルスに感染した場合、限られた医療機関でのみ受診可能でしたが、5月8日以降は、幅広い医療機関での受診が可能に なります。また、PCR検査や入院・外来の医療費については、季節性インフルエンザなどと同様に健康保険が適用され、1割から3割の自己負担 が基本となります。
また、新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金については、これまでは療養担当者意見欄(申請書4ページ目)の証明の添付が不要でした が、5月8日以降の申請については、医師の証明が必要となりますので注意が必要です。
【厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行後の対応について」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/corona5rui.html
【全国健康保険協会「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の申請について」】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/event/cat550/covid_19/shinsei/
「残業」は転職先選びに影響する重要事項~エン・ジャパン「社会人1万人の『残業』実態調査」より (2023/06/02)
エン・ジャパン株式会社は、令和5年5月8日、「社会人1万人の「残業」実態調査―『エン転職』ユーザーアンケート」を公表しました。運営す
る総合求人サイト『エン転職』上でユーザーを対象にアンケートを実施し、1万2,940名から回答を得ました(調査期間は令和5年2月22
日~3月28日)。
◆「残業の有無や平均時間」が転職先選びに影響していると回答したのは84%
「転職活動をする上で、残業の有無や平均時間等は、企業選びにどの程度影響しますか?」の質問に対し、「とても影響する」が最多で49%、 「少し影響する」は35%で、合わせて84%が「影響する」と回答しました。
年代別で見ると、20代、30代は半数以上が「とても影響する」(20代:55%、30代:56%)と回答し、「少し影響する」と合わせる と、20代は89%、30代は88%に上ります。
また男女別では、「とても影響する」と回答した男性が44%に対し、女性は54%と10ポイントの差がありました。男性より女性のほうが、 企業選びで残業時間を重要視していることがわかります。
◆残業時間が「増加傾向」は26%、「減少傾向」は24%。半数は「変わらない」
「ここ数年で、あなたの残業時間は増加傾向ですか? 減少傾向ですか?」の質問には、「変わらない」が50%と半数を占めました。「増加傾 向」は26%、「減少傾向」は24%で、ほぼ同率でした。
業種別で残業時間が増加傾向だったのは、「コンサルティング・士業」が最多で36%、一方、減少傾向は「メーカー(機械・電気・電子な ど)」が最多で32%でした。
◆残業時間の増加理由は「人手不足」、減少理由は「企業の残業制限」
残業が増加傾向と回答した人にその理由を聞いてみると、「人員が足りないため」が最多で75%でした。次いで「仕事量が増えてきたため」が
67%と続きます。
一方、残業時間が「減少傾向」と回答した人の理由は、「残業が制限されたため」が最多で42%でした。
◆残業代の割増制度を知っている人は4割弱にとどまる
中小企業で働く人の「月60時間を超える残業代の割増率が50%に引き上げ」されることを知っているかの問いには、「知っている」は39% (内容も含めてよく知っている9%、概要だけ知っている30%)と、全体の4割弱に留まりました。
引上げについては、「とても良いと思う」(47%)と「良いと思う」(33%)を合わせた80%の人が好感を示しています。一方で、引上げ が「良くないと思う」(とても良くないと思う1%、良くないと思う8%)という声も1割弱ありました。
【エン・ジャパン株式会社「社会人1万人の『残業』実態調査」】
https://corp.en-japan.com/newsrelease/2023/32805.html
2023年度卒新入社員の意識~東京商工会議所「2023年度 新入社員意識調査集計結果」より (2023/06/02)
東京商工会議所が、2023年卒の新入社員1,050人を対象に、WEB上で社会人生活や仕事に対する意識調査を実施し、その結果が公表され
ました。今後の採用活動で参考となりそうな項目について取り上げます。
◆就職先の会社を決める際に重視したこと「社風、職場の雰囲気」60.0%
半数以上が、職場の雰囲気に重きを置いています。その他、「処遇面(初任給、賃金、賞与、手当など)」(51.5%)、「福利厚生」
(41.6%)、「働き方改革、ワーク・ライフ・バランス(年休取得状況、時間外労働の状況など)」(40.3%)が上位にあがっています。
◆就職先の会社が内定から入社までの間に実施したフォローの取組み
「採用担当者からの定期的な連絡」(43.2%)、「会社見学会」(29.0%)、「内定式・内々定式」(27.6%)が上位となっていま
す。内定から入社まで期間が空くので、単純に不安に思う学生も多いことでしょう。
◆社会人生活で不安に感じること
「仕事と私生活とのバランスが取れるか」(42.0%)、「上司・先輩・同僚とうまくやっていけるか」(40.7%)、「仕事が自分に合っ
ているか」(40.0%)が上位を占めていますが、9割強の新入社員は、社会人生活で何らかの不安を感じているとの結果が出ています。
◆「理想だと思う上司」はどのようなことを大事にしたり重視する人か
「理想の上司」のイメージに近い有名人・著名人の各上位は以下の通りです(カッコ内は回答数)。
- 芸能人・文化人:1位…水卜麻美(43)、2位…明石家さんま(39)、3位…桝太一(35)、4位…松本人志(30)、5位…内村 光良(29)
- スポーツ界:1位…大谷翔平(234)、2位…イチロー(141)、3位…栗山英樹(58)、4位…松岡修造(40)、5位…ダル ビッシュ有(37)
- 歴史上の人物:1位…織田信長(120)、2位…徳川家康(94)、3位…坂本龍馬(80)、4位…豊臣秀吉(44)、福沢諭吉 (44)
【東京商工会議所「2023年度 新入社員意識調査集計結果」】
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1034060
令和5年度 労働保険の年度更新の注意点~例年の算定方法と異なります (2023/05/04)
◆労働保険の年度更新とは
労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(保険年度)を単位として計算されることになっており、その額はすべての 労働者(雇用保険については、被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定することになっています。
労働保険では、保険年度ごとに概算で保険料を納付し、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算することになっているため、事業主は、前年 度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となります。これが「年度 更新」の手続きです。
この手続きは、毎年6月1日~7月10日に行わなければなりません。
◆令和5年度の注意点
令和4年度の雇用保険率が年度の途中で変更になったため、令和4年度確定保険料の算定において、一元適用事業および二元適用事業(雇用保 険)の場合は、保険料算定基礎額と保険料額を労災保険分と雇用保険分ごとに、前期(令和4年4月1日~同年9月30日)と後期(令和4年10 月1日~令和5年3月31日)に分けて算出する必要があります。
これに伴い、令和5年度の年度更新について、年度更新申告書と確定保険料一般拠出金算定基礎賃金集計表の様式が変更されているので、注意が 必要です。
なお、二元適用事業(労災保険)の場合は、令和4年度の確定保険料の算定方法は例年と変更ありません。
また、一般拠出金および特別加入保険料の算定方法についても例年と変更ありません。
【厚生労働省「労働保険年度更新に係るお知らせ」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/roudouhoken21/index.html
「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」が改正されました (2023/05/04)
事業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部が改正され、令和5年4月1日から施行となっています。厚生労働省からは、通達「「事
業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部を改正する件」の周知について(令和5年3月31日基発0331第1号)」が公表されて
います。
◆指針について
この指針は、労働安全衛生法の規定に基づき、事業者が講ずるよう努めるべき労働者の健康の保持増進のための措置が適切かつ有効に実施される
よう、当該措置の原則的な実施方法について定めたものです。
◆改正の理由
①加齢に伴う筋力や認知機能等の低下が転倒等の労働災害リスクにつながること等を踏まえ、労働者の健康状況の継続的な把握等、労働者の高齢
化を見据えた取組みについて明確化するため、また、②40歳未満の労働者について、事業者と医療保険者が連携して健康保持増進対策をより効果
的に推進できるようにするための改正です。
◆改正の内容
筋力や認知機能等の低下に伴う転倒等の労働災害を防止するため、体力の状況を客観的に把握し、自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう、 「転倒等のリスクを確認する身体機能セルフチェック」「加齢による心身の衰えを確認するフレイルチェック」、「移動機能を確認するロコモ度テ スト」等を実施することが考えられる旨、規定されました。
また、健康保持増進対策の考え方として、事業者は医療保険者と連携したコラボヘルスの推進に積極的に取り組んでいく必要があること、労働安 全衛生法に基づく定期健康診断の結果の記録等を積極的に医療保険者と共有すること、および当該記録等は電磁的な方法で保存および管理させるこ とが適切であることを明確化しました。
【厚生労働省「「事業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部を改正する件」の周知について(令和5年3月31日基発0331第
1号)」】
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T230331K0260.pdf
令和6年4月から労働条件明示ルールが改正されます (2023/05/04)
◆労働条件明示事項が追加に
労働基準法施行規則等の改正により、令和6年4月から労働条件明示のルールが変わります。具体的には、労働契約の締結・更新のタイミング の労働条件明示事項が追加されます。明示が必要なタイミングごとに、新しく追加される明示事項を見てみましょう。
- すべての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時
→明示事項①:就業場所・業務の変更の範囲 - 有期労働契約の締結時と更新時
→明示事項②:更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内
※あわせて、最初の労働契約の締結より後に更新上限を新設・短縮する場合は、その理由を労働者にあらかじめ説明することが必要になりま す。 - 無期転換ルールに基づく無期転換申込権が発生する契約の更新時
→明示事項③:無期転換申込機会、明示事項④:無期転換後の労働条件
※あわせて、無期転換後の労働条件を決定するにあたって、就業の実態に応じて、正社員等とのバランスを考慮した事項について、有期契約労 働者に説明するよう努めなければならないこととなります。
◆労働条件通知書を見直しましょう
上記1.については、すべての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、「雇入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、これ らの「変更の範囲」についても明示が必要になります。改正に適応した労働条件通知書となるよう、書式を見直しましょう。また、有期契約労働者 については、上記2.・3.に基づき、会社の方針を踏まえしっかりと説明する必要があることに注意しましょう。労働条件通知書の見直しについ ては、弊所へご相談ください。
【厚生労働省「労働条件明示改正リーフレット」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001080267.pdf
令和5年度分36協定届提出前にチェックしておきたい最新の変更点 (2023/04/02)
◆電子申請利用率の現状
労働基準法等に基づく届出のうち、年間10万件超のものについて電子申請の利用促進が進められていますが、利用率は、36協定
13.79%、就業規則届23.15%、一年単位の変形労働時間制9.11%となっています(いずれも令和3年実績)。5年前と比較すると伸
びてはいるものの、政府の掲げる「デジタル原則」実現にはさらに利用率を上げる必要があります。
◆令和5年2月27日以降の変更点
そのため、利用者の要望を反映して利便性をアップする複数のシステム改修が行われています。
1点目として、36協定届ではエラーチェック機能が拡充されるとともに、入力画面で必須入力欄が黄色く明示されるようになっています。
2点目として、一年単位の変形労働時間制に関する協定届の本社一括届出が、新たにできることとなっています。
3点目として、36協定届、就業規則届、一年単位の変形労働時間制に関する協定届の本社一括届出について、一括届出事業場一覧作成ツールが1 種類にまとめられています。
4点目として、受付印のイメージが付いた控えをダウンロードできる届出・申請の種類が拡充されています。
◆令和5年度分の届出は余裕を持って
これらの変更により、変更前に手続ブックマークを登録していた手続きは利用できなくなっていますので、新たに申請データを作成する必要があ ります。
紙での届出と異なり、電子申請では会社のパソコンから手続きを行うことができますが、届出・申請が集中する時期にはつながりにくくなったりす ることがありますので、余裕を持って手続きを行いましょう。
【厚生労働省「第178回労働政策審議会労働条件分科会(資料)」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27962.html
【労働基準法等の規定に基づく届出等の電子申請について】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184033.html
リーフレット「賃金のデジタル払いが可能になります!」が公表されました (2023/04/02)
令和5年4月1日から、労働者が同意した場合には賃金のデジタル払いが認められることになりました。導入の際は以下の点に留意しましょう。
◆今後の流れ
- 2023年4月~……資金移動業者が厚生労働大臣に指定申請、厚生労働省で審査(数か月かかる見込み)
- 大臣指定後……各事業場で労使協定を締結
- 労使協定締結後……個々の労働者に説明し、労働者が同意した場合には賃金のデジタル払い開始
◆事前の協定締結が必須です
賃金のデジタル払いを事業所に導入するには、まずは、雇用主と労働者で労使協定の締結が必要です。その上で、雇用主は以下の事項を労働者に 説明し、労働者の項別の同意を得る必要があります。
- 受け取り額は適切に設定を
指定資金移動業者口座は、「預金」をするためではなく、支払いや送金に用いるためのものであることを理解の上、支払いなどに使う見込みの 額を受け取るようにしてください。また、受け取り額は、1日当たりの払出上限額以下の額とする必要があります。 - 口座の上限額は100万円
口座の上限額は100万円以下に設定されています。上限額を超えた場合は、あらかじめ労働者が指定した銀行口座などに自動的に出金されま す。この際の手数料は労働者の負担となる可能性がありますので、指定資金移動業者にご確認ください。 - 口座残高の現金化も可能(月1回は口座からの払い出し手数料なし)
ATMや銀行口座などへの出金により、口座残高を現金化(払出し)することもできます。少なくとも毎月1回は労働者の手数料負担なく指定 資金移動業者口座から払い出しができます。払出方法や手数料は指定資金移動業者により異なります。 - 口座残高の払戻し期限は少なくとも10年間
口座残高については、最後の入出金日から少なくとも10年間は、申し出などにより払戻してもらうことができます。
【厚生労働省「賃金のデジタル払いが可能になります!」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001065931.pdf
4月から出産育児一時金が増額されます (2023/04/02)
◆出産育児一時金とは?
出産育児一時金とは、健康保険等の被保険者が出産したとき(妊娠85日以後の生産(早産)、死産(流産)、人工妊娠中絶)、出産に要する経
済的負担を軽減するため、一定の金額が支給される制度です。
◆42万円から50万円に増額へ
出産育児一時金の支給額は、公的病院における出産費用等を勘案して定められており、現在は原則42万円(本人支給分40.8万円+産科医療 補償制度の掛金分1.2万円)ですが、この4月1日から1児につき50万円が支給されます。
産科医療補償制度とは、医療機関等が加入する制度で、加入医療機関で制度対象となる出産をされ、万一、分娩時の何らかの理由により重度の脳性
まひとなった場合、子どもとご家族の経済的負担を補償するものです。
◆出産費用の状況等
厚生労働省の令和4年10月13日第155回社会保障審議会医療保険部会資料によると、出産費用(正常分娩)は年間平均1%前後で増加して います。
令和3年度における出産費用(公的病院・正常分娩)の状況を都道府県別にみると、一番高いところで東京都の56万5,092円(平均値)、一 番低いところで鳥取県の35万7,443円(平均値)、全国では45万4,994円(平均値)です。
出産費用の増加要因や地域差の要因として、医療費水準や物価水準、私的病院の割合、妊婦の年齢等がありますが、最も大きい要因は地域の所得水
準となっています。
◆出産育児一時金の支給方法(直接支払制度・受取代理制度)
出産にかかる費用に出産育児一時金を充てることができるよう、協会けんぽまたは健保組合から出産育児一時金を医療機関等に直接支払う仕組み (直接支払制度)があります。出産費用としてまとまった額を事前に用意する必要がないので、被保険者の負担は軽減されます。
また、直接支払制度では、事務的負担や資金繰りへの影響が大きいと考えられる施設(年間の分娩件数が100件以下または収入に占める正常分娩 にかかる収入の割合が50%以上で、厚生労働省へ届け出た診療所・助産所)については、医療機関等が被保険者に代わって出産育児一時金を受け 取る「受取代理」制度を利用することができます。
3月からの協会けんぽの保険料率と4月からの雇用保険料率 (2023/03/01)
◆令和5年3月分からの健康保険料
令和5年3月分(任意継続被保険者にあっては同年4月分)の都道府県単位ごとの保険料率が全国健康保険協会のホームページに公表されまし た。令和4年度から引上げとなった都道府県は13、引下げとなった都道府県は33、現状維持は1県です。東京都は10.00%になります(令 和4年度9.81%)。
なお、40歳から64歳までの方に加算される介護保険料率は、1.64%から1.82%に変更になります。
【協会けんぽ「令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)」】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3150/r05/r5ryougakuhyou3gatukara/
◆雇用保険料率(令和5年4月1日~令和6年3月31日まで)
● 一般の事業の雇用保険料率
労働者負担と事業主負担あわせて15.5/1,000となります(令和5年3月までは13.5/1,000)。失業等給付・育児休業給付の 保険料率が労働者負担・事業主負担ともに5/1,000から6/1,000に変更になったことで上がりました。事業主のみ負担となる雇用保険 二事業の保険料率については変更はなく、3.5/1,000です。
● 農林水産・清酒製造の事業、建設の事業
農林水産・清酒製造の事業の雇用保険料率は労働者負担と事業主負担あわせて17.5/1,000となります(令和5年3月までは15.5 /1,000)。
建設の事業は労働者負担と事業主負担あわせて18.5/1,000となります(令和5年3月までは16.5/1,000)。
失業等給付等の保険料率が、一般の事業と同じく、労働者負担・事業主負担ともに上がりました(6/1,000から7/1,000に変更)。 雇用保険二事業の保険料率(事業主のみ負担)に変更はありません(農林水産3.5/1,000、建設4.5/1,000)。
【厚生労働省「令和5年度雇用保険料率のご案内」】
https://www.mhlw.go.jp/content/001050206.pdf
「オンライン事業所年金情報サービス」がスタートしました (2023/03/01)
◆「オンライン事業所年金情報サービス」とは
事業主の方が、毎月の社会保険料額情報等の電子データをe-Govのマイページで受け取れる、日本年金機構が2023年1月にスタートした サービスです。利用申込みから各種情報・通知書の受け取りまでがオンラインで完結し、初回の申込み以降は定期的に受け取れるようになります。
*このサービスの利用には、GビズIDが必要です。
◆サービスのメリット
- 納入告知等、紙の通知書よりも早い受け取り・確認が可能
- 一度の申請で定期的にデータの受け取りが可能
- 電子データで受け取れるので、社内システムへの取り込み、自社保有データとの突合等が可能
◆電子データで受け取れる各種情報・通知書
- 社会保険料額情報
- 保険料増減内訳書
- 基本保険料算出内訳書
- 賞与保険料算出内訳書
- 保険者データ
- 決定通知書 等
◆サービスの利用方法
このサービスを利用するためには、GビズIDが必要になります。
GビズIDは無料で利用できますが、発行までに2週間程度かかりますので、まだ取得していない事業主の方は、早めに進めるとよいでしょう。
【日本年金機構「オンライン事業所年金情報サービス(事業主の方)」】
https://www.nenkin.go.jp/denshibenri/online_jigyousho/online_jigyousho.html
外国人雇用の届出状況を発表~厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ (2023/03/01)
厚生労働省は、令和4年10月末現在の外国人雇用についての届出状況の取りまとめを公表しました。
外国人雇用状況の届出制度は、労働施策総合推進法に基づき、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援などを目的とし、すべての事業主に、
外国人の雇入れ・離職時に、氏名、在留資格、在留期間などを確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることを義務付けています。
◆外国人労働者数は182万2,725人で、過去最高を更新
外国人労働者数は182万2,725人で、前年比で9万5,504人増加し、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新しました。
対前年増加率は5.5%と、前年の0.2%から5.3ポイント増加しています。
◆外国人雇用の事業所も過去最高の約30万社に
外国人を雇用する事業所数は29万8,790所で、前年比1万3,710所増加し、届出の義務化以降、こちらも過去最高を更新しています。
ただ、対前年増加率は4.8%と、前年の6.7%から1.9 ポイントの減少でした。
◆国籍別では、ベトナムが46万2,384人で最多
国籍別では、ベトナムが最も多く46万2,384人で、外国人労働者数全体の25.4%を占めています。次いで中国38万5,848人(全 体の21.2%)、フィリピン20万6,050人(全体の11.3%)の順となっています。
前年増加率が高い主な3か国は、インドネシアが前年比47.5%増で7万7,889人、次いでミャンマーが前年比37.7%増の4万
7,498人、ネパールが前年比20.3%増の11万8,196人の順となっています。
◆在留資格別では、「技能実習」が34万3,254人で、前年比8,534人減
在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が47万9,949人で、前年比8万5,440人(21.7%)の増加、「特定活動」が 7万3,363人で、前年比7,435人(11.3%)増加、「身分に基づく在留資格」が59万5,207人で、前年比1万4,879人 (2.6%)増加しました。
一方で、「技能実習」は34万3,254人で、前年比8,534人(2.4%)減少し、「資格外活動」のうち「留学」は25万8,636人 で、前年比8,958人(3.3%)減少しています。
【厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30367.html
2023年の労務イベントとその対応 (2023/02/04)
◆「賃金」に関する改正への対応
4月1日以降、月60時間超の時間外労働の割増賃金率が50%(深夜割増賃金率は75%)となります(引上げ分の割増賃金支払いに代えて有 給の休暇(代替休暇)の付与も可能)。就業規則等の見直しの要否とあわせて、残業の申請・承認、残業時間が長い従業員への健康管理も含めた注 意喚起など、長時間労働を抑制する取組みができているか確認しておきましょう。
また、2020年4月以降賃金請求権の消滅時効期間が3年に延長されており、4月1日以降、過去3年分の賃金請求権が発生します。賃金不払 いをめぐるトラブル予防のため、労働時間把握や集計、割増賃金計算などに不備がないか確認しておきましょう。
さらに、デジタルマネーによる賃金支払いも導入されます。若い従業員などが希望する可能性もありますから、対応を検討しておきましょう。
◆「データ公表義務」への対応
2022年7月施行の改正女性活躍推進法により、次の事業年度の開始後概ね3カ月以内での「男女賃金の差異」の情報公表が、301人以上の 企業で義務化されています。厚生労働省のデータベース等での公表のほか、働きやすさを示すデータとして募集時に活用されることも考えられま す。義務化の対象となっていない企業においても対応を検討しておきましょう。
また、4月以降、常時雇用1,000人超の事業主に、育児休業等の取得状況の年1回公表が義務づけられます。江崎グリコ株式会社による昨年
9月の調査で、パパ育休制度を認知している人の7割超が利用したいと回答するなど、利用しやすい環境が整っているかも関心を集めていますの
で、こちらも対応を検討しておくとよいでしょう。
【厚生労働省リーフレット「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」】
https://www.mhlw.go.jp/content/000930914.pdf
【厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03_00028.html
【厚生労働省「女性の活躍に関する「情報公表」が変わります」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000962289.pdf
【厚生労働省「「育児休業平均取得日数」を公表する場合の公表・計算例について」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001029777.pdf
「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」および「緊急雇用安定助成金」が3月で終了します (2023/02/04)
厚生労働省は、新型コロナウイルス対策として、休業手当を受け取れなかった人を対象に導入した「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給
付金」の受付を、令和5年3月末までの休業をもって終了すると明らかにしました。
また、休業手当の一部を補助する企業向けの「緊急雇用安定助成金」の受付も、令和5年3月末までの休業をもって終了します。
雇用情勢が回復し、コロナ禍前と同様に人手不足感が強まっていることなどを踏まえ、制度の打ち切りを決めました。利用されている方はご注意
ください。
◆新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の申請対象期間および申請期限
令和4年10月~令和4年11月に休業した場合の申請期限は令和5年2月28日まで、令和4年12月~令和5年1月に休業した場合の申請期
限は令和5年3月31日まで、令和5年2月~令和5年3月に休業した場合の申請期限は令和5年5月31日までです。
◆緊急雇用安定助成金の申請期限
支給対象期間(1~3の連続する判定基礎期間)の末日の翌日から起算して2か月以内です。申請期限を過ぎた場合は、申請を受け付けることが
できません。郵送またはオンライン申請による場合は、上記の日までに支給申請書等が労働局・ハローワークに到達していなければなりませんの
で、ご注意ください。なお、令和5年3月31日を含む判定基礎期間の申請期限は、令和5年5月31日まで(必着)です。
詳しくは、下記ホームページをご覧ください。
【厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金受付終了のお知らせ」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001032016.pdf
【厚生労働省リーフレット「緊急雇用安定助成金は、令和5年3月31日をもって終了する予定です」を掲載しました】
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001030562.pdf
令和4年障害者雇用状況と実雇用率算定方法の改正 (2023/02/04)
◆雇用障害者数、実雇用率が過去最高
厚生労働省は、民間企業や公的機関などにおける、令和4年6月1日時点の「障害者雇用状況」集計結果を取りまとめ、公表しました。
民間企業(障害者雇用促進法において義務付けられている43.5人以上の規模:法定雇用率2.3%)の雇用障害者数は、61万 3,958.0人(対前年比2.7%増、対前年差1万6,172.0人増)、実雇用率2.25%(対前年比0.05ポイント上昇)と、いずれ も過去最高を更新しています。
また、法定雇用率達成企業の割合は、48.3%(対前年比1.3%増)となっています。なお、法定雇用率未達成企業は、5万5,684社で
そのうち障害者を1人も雇用していない企業(0人雇用企業)は3万2,342社で、未達成企業に占める割合は58.1%となっています。
◆精神障害者の雇用が増加
雇用者を障害種別で見ると、身体障害者は35万7,767.5人(対前年比0.4%減)、知的障害者は14万6,426.5人(同4.1% 増)、精神障害者は10万9,764.5人(同11.9%増)と、特に精神障害者の伸び率が大きくなっています。
その理由として、平成30年4月から精神障害者の雇用が義務化され、雇用者は今も増加傾向となっていることが挙げられます。しかし、精神障
害者は、身体障害者や知的障害者に比べて長時間安定して働くことが難しく、職場定着率が低いことが課題となっています。
◆短時間労働者の実雇用率算定方法の見直し
そこで政府は、「短時間(週所定労働時間が20時間以上30時間未満)であれば働ける」という精神障害者の就労機会を拡大するため、一定の 要件を満たした場合に、従来1人あたり0.5ポイントとカウントするところを1ポイントとカウントする特例措置を設けました(令和4年度末ま でとされていたが省令の改正で延長予定)。
また、改正障害者雇用促進法では、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者を雇用した 場合についても、雇用率を1人あたり0.5ポイントとしてカウント(予定)することとしました(令和6年4月までに施行予定)。
【厚生労働省「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」】
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001027391.pdf
【厚生労働省「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の概要」】
https://www.mhlw.go.jp/content/001000995.pdf
ILO 職場のハラスメントで初の国際調査 (2023/01/02)
◆ハラスメント問題への関心の高まり
令和4年4月から中小企業にもパワハラ防止法が施行され、どの企業でもパワハラ防止措置を講じることが求められるようになりました。このよ
うな中、労働者のハラスメントへの意識の高まりもあり、企業では今まで以上に、ハラスメント問題に注意深く取り組むことが必要になっていま
す。
◆ILOによる職場のハラスメント調査
国際労働機関(ILO)は12月5日、職場における暴力とハラスメントについて分析した報告書を発表しました(対象:121の国と地域の 15歳以上の被雇用者約7万5,000人)。このような調査が世界規模で行われるのは初めてだそうです。
これによれば、約5人に1人が、身体的、心理的、性的な暴力やハラスメントを経験していることがわかりました。そして、被害者が被害を誰か
に打ち明けるケースはわずか半数しかなく、被害を話さない理由として多いのは、「時間の無駄だと思う」「評判が落ちるのが怖い」が挙げられて
います。また、被害者の5人に3人以上が、職場で暴力やハラスメントを複数回経験、その多くが過去5年以内に被害を受けていると回答していま
す。
◆世界的にも注目されるハラスメント対策
2019年6月にはILOで、「仕事の世界における暴力とハラスメントの根絶に関する条約」が採択されています。条約は、ハラスメントを直 接禁止したり、制裁したりする規定を求めており、現在の日本の法規定にさらなる手当てが必要なものとなっています。
今後は、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)のためのハラスメント根絶という世界の潮流も踏まえて、ますますハラスメン ト問題への対策が重要となってくるでしょう。
【ILO駐日事務所プレスリリース「職場での暴力・ハラスメント 5人に1人が被害」】
https://www.ilo.org/tokyo/information/pr/WCMS_863288/lang--ja/index.htm
中小事業主も月60時間超えの時間外労働割増率が5割以上に (2023/01/02)
◆猶予措置の廃止
令和5年4月1日から、月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を「5割以上の率」とする規定が、中小事業主にも適用されることに なりました。
もともと、使用者が時間外または休日労働させた場合には、2割5分以上5割以下の率で計算した割増賃金を支払わなければなりませんでした が、2010年4月1日施行の改正により、月60時間を超えた場合は、5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないとされていま した。
ただし、この改正は中小事業主(労働者の数が300人(小売業については50人、卸売業またはサービス業については100人)以下)である
事業主には適用が猶予されていたのですが、令和5年4月1日からは適用されることになりました。
◆代替休暇の規定も適用
中小事業主にも月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を5割以上の率とする規定が適用されることに伴い、「代替休暇」の規定も適 用されることになります。
代替休暇とは、1カ月に60時間を超えて時間外労働を行わせた労働者について、労使協定により、法定割増賃金率の引上げ分の割増賃金の支払 いに代えて、有給の休暇を与えることができるものです。
労使で協定すべき事項としては、月60時間を超えて労働させた時間数に対して、何時間の代替休暇を与えるかという計算方法や、代替休暇の単 位(1日または半日)などがあります。
そのほか、制度の導入に際しては、個々の労働者が実際に代替休暇を取得するか否かは、労働者の意思によること、労使協定の締結により代替休 暇を実施する場合には、代替休暇に関する事項を「休暇」として就業規則に記載する必要があることにも留意しましょう。
令和5年1月から協会けんぽの様式が変更されます (2023/01/02)
◆令和5年1月から新様式へ
協会けんぽが、令和5年1月以降の各種申請書(届出書)の新様式を公表しています。よりわかりやすく、より記入しやすく、より迅速な給付等 を目的に、次のような変更が行われています。
- 文字の読み取り精度向上のため、マス目化した記入欄を増加
- 記入しやすいように、記述式の部分を選択式に変更
新様式は、協会けんぽのホームページからダウンロードが可能です。協会けんぽ都道府県支部へ郵送を依頼しても入手できます。また、ホーム ページでは今回の様式変更に関するリーフレットも公表されています。
なお、令和5年1月以降も旧様式を使用することはできますが、この場合は事務処理等に時間を要することがあるとしています。
◆変更となる主な様式
変更となる主な申請書(届出書)は以下のとおりです。今月から下記申請書等は新様式になりますので、関係する従業員への周知等が肝要で す。
【健康保険給付関係】
- 傷病手当金支給申請書
- 療養費支給申請書(立替払等)
- 療養費支給申請書(治療用装具)
- 限度額適用認定申請書
- 限度額適用
- 標準負担額減額認定申請書
- 高額療養費支給申請書
- 出産手当金支給申請書
- 出産育児一時金支給申請書
- 出産育児一時金内払金支払依頼書
- 埋葬料(費)支給申請書
- 特定疾病療養受療証交付申請書
【任意継続関係】
- 任意継続被保険者資格取得申出書
- 任意継続被保険者被扶養者(異動)届
- 任意継続被保険者資格喪失申出書
- 任意継続被保険者氏名 生年月日 性別 住所 電話番号変更(訂正)届
【被保険者証等再交付関係】
【協会けんぽ「申請書の様式変更について」】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat297/